伝説（6件） 
152：73B 許由一瓢（許由）
許由は五帝・堯よりの禅譲を求められたが蹴り飛ばした隠者である。箕山に隠遁し、水を飲むにも川から手ですくって飲むような状態であった。それを見かねた人から杯を譲って貰ったのだが、結局煩わしくなって捨てた。
462：225A 女媧補天（女媧）
女媧の治世、天地が荒れ狂った。それらを整えるために女媧は五色の石を練って天を補い、鰲の足を斬って四極を立て、蘆の灰を集めて洪水を押しとどめた。
233：111B 蒼頡制字（蒼頡）
文字の考案者たる蒼頡は黄帝の臣下と言うことになっているらしい。うーむ、なら十八史略で名前が挙がっても不思議じゃない気もするんですけどねえ。
232：111A 杜康造酒（杜康）
杜康は「酒を造った神」とされている。儀狄じゃないの？ どうせ異名なんじゃねーのと思ってみても、この二つを同じ神とする説も見かけないのが不思議。
564：274A 伯成辞耕（伯成）
堯の時代に伯成は諸侯となった。やがて王の座が舜を経て禹に引き継がれた頃、諸侯の座を辞し、晴耕雨読の生活を送るようにした。
375：181B 離婁明目（離朱）
離朱は様々な書物で「目がいい人」の代名詞としてこの人の名前が出てくる。
夏殷（5件）
292：141A 伊尹負鼎（伊尹）
鼎は三本足の祭器であり、国の象徴として比喩されることが多い。つまり国を保つため、あえて暴挙に出てでも国運を背負ったとなる。
391：189B 飛廉善走（飛廉）
惡來・飛廉はともに紂王の配下として働いた人物。怪力の配下と素早い配下とか、なんてコテコテな悪役たちなんだ……。
474：231A 龍逢板出（龍逢）
後漢のひと宋均が著した「論語陰嬉讖」に載る事績が元ネタ。ある朝、関龍逢の予言が刻まれた金属板が発掘された。そこには「臣が死ぬとき、桀王もまた囚われるであろう」と刻まれていた。
390：189A 惡來多力（惡來）
惡來・飛廉はともに紂王の配下として働いた人物。怪力の配下と素早い配下とか、なんてコテコテな悪役たちなんだ……。
409：198B 商受斮涉（紂王）
一方、受は古い発音だと紂に繋がった。そして悪事をやめるよう交渉してきた者を斮り殺した。
周（7件）
4：2B 呂望非熊（太公望）
周の文王が人材を探したときに「得るのは龍でも神獣でも、熊やヒグマ、虎や狼でもない。王の補佐だ」と占いに出た。それが太公望呂尚だった。
314：151A 周公握髪（周公旦）
『韓詩外伝』に、周公旦は来客があれば、例え洗髪中でも髪を握ったまま応対に出たと書かれている。それだけ人材を逃したくなかったのだ、と。
261：125B 史籀大篆（周史官）
史籀とは周の時代、子供に文字を教えるために編纂された教科書のこと。そのフォントが大篆であった。
454：221A 老萊斑衣（老萊子）
老萊子は隠者。七十才にもなって未だ両親が健在であり、両親の前では赤子のような声を上げたりもした。
379：183B 偃師舞木（偃師）
周の穆王の時代、偃師と言う人物は木で自在に動く人形を作り出した。その動きがどう見ても人間であったため、王が怪しんで調査させてみたところ、やはり木でできていた、と言う。
339：163B 薊訓歴家（薊子訓）
薊子訓は数百年経っても老いることがなかった。あるとき政府の要人の家二十三ヶ所に招かれたのだが、すべての家に、同時に、同じ格好で、訪問したのだ。
96：46B 鼈霊王蜀（鼈霊）
周の時代、蜀の地に王が立っていた。王たちの先祖は鼈靈といい、荊州の人だったが、死亡して楚の死体が何故か長江を遡上、蜀の地で復活。その地で王となり、以降代々統治した。
春秋時代（57件）
584：283B 易牙淄澠（易牙）
斉の士大夫易牙もまた異常な味覚の持ち主。淄水と澠水の水を、舐めることによって判別した。
331：159B 於陵辞聘（於陵の子終）
於陵に住む「子終」は賢人であり、楚王よりの招聘を受けるほどだった。しかしその妻が言う。「こうして細々と暮らしていることで十分だのに、どうしてあえて楚国の憂いを負おうとなさるのですか？」その言葉を聞き、子終はそよりの招聘を断った。
426：207A 管仲隨馬（管仲）
斉の桓公が外国征伐に出たところ、帰り道に迷子になった。すると管仲が「老いた馬の知恵を頼るべきだ」と老馬を放った。そして老馬の後についていったところ、うまく帰り道にたどり着いた。
448：218A 顔回簞瓢（顔回）
顔回は粗末な竹編みの弁当箱一つのみの食事でも生活を楽しんだ。
242：116A 顔叔秉燭（顔叔子）
顔叔子が小屋で雨宿りしたとき、いきなり壁が崩れた。壁の向こうには寡婦がひとり。男女が同じ部屋で眠るのはヤバいと婦人が去ろうとするも、顔叔子はまぁまぁと彼女のためにろうそくを継ぎ足し続け、ついぞ手は出さなかった。
420：204A 季札挂劒（季札）
呉の公子季札は呉からの使者として、各地に出向くことになる。その途上にさしかかった「徐」の君主が、内心で季札の腰に提げていた宝剣を欲していた。それに気付かぬふりをして各地を巡った季札、帰途にて再度徐に立ち寄る。するとその君主が死んでいたため、墓に例の宝剣を捧げ、帰還した。
608：295B 敬姜猶績（敬姜）
春秋魯の季敬姜は公父文伯の母である。そう、客人に小さなスッポンのスープを出すことで客を怒らせてしまった、あの。さて公父文伯が母の元に挨拶に出向くと、彼女は機織りの手を止めることなきまま挨拶を聞き入れた。おかん、いくら何でもそれはないんとちゃいますのん？ 公父文伯がそう言うと、おかん殿、ため息をついて言う。「魯の国は、このままでは滅びるわね。（盛大なる長広舌によるフルボッコ）……聖王が民のための政治をなす、そして民は機を織る。それができなければ国は回らない。古から言われていることだのに」。
417：202B 原憲桑樞（原憲）
原憲は孔子の高弟のひとり。粗末なあばら屋に住み、入り口の戸は桑の葉っぱを垂らすことで代用していた。この様子を貨殖に長けた子貢が嘆いたところ「先生の清貧の教えも守れないお前が何言ってんだ」とへこませた。
214：102A 文伯羞鼈（公父文伯）
公父文伯、宴会で出したスッポンがめちゃくちゃ小さかったと言うことで、宴会の主賓にぶち切れられたり、母親からも「なんでそんな恥ずかしいことをしたの！」と怒られたそーである。
168：81B 魯般雲梯（公輸）
公諭は優れた大工で、多くの攻城兵器を手がけた。中でもはしご車は見事なものであった。もっともはしご車による攻撃は、墨子によってことごとく退けられるのだが。
438：213A 句踐投醪（勾践）
勾践は人から旨い酒を貰ったとき、自分は飲まずに川に流して配下兵に飲ませた。旨い食い物を貰えばそれを兵らに分け与えた。入手した一人分の酒や食料を数千人に分け与えれば当然味もクソもないのだが、その意気に兵らは感動し、五人力、十人力の働きをした。
27：13A 程孔傾蓋（孔子）
また孔子も、「郯」と言う地で出会った賢人の「程子」と意気投合して、車を止めて蓋、つまり屋根を傾けて話し込んだ。
312：150A 孔伋緼袍（孔伋）
孔子の孫、孔伋が衛にいた頃、貧乏暮らしをしていた。それを見かねた金持ちが「どうせ捨てるようなものだから」と着物を送ったが、拒否。「ゴミ箱のような扱いされるなら貰わない方がマシだから」とのことだ。
526：255A 史魚黜殯（史魚）
史魚は衛の霊公の時代の人、つまり孔子の同時代人。霊公が佞臣を重んじ賢臣を遠ざけていたのをしばしば諫めたが聞き入れてもらえず、その死に際して「私は君主を正すことができなかった、ならば葬礼を受けるには値しない」と薄葬を命じた。それを見た霊公が己の過ちを悟り、ついに佞臣を遠ざけた。
418：203A 端木辞金（子貢）
端木賜#NAME?では他国に召し上げられた召使いを買い戻すときには、魯の国庫から金を出して良いとされていた。しかし清廉な行いではないからと、子貢はそれを固辞。すると孔子から「そういう所のお金はきっちり使いなさい」と怒られている。
62：29B 子路負米（子路）
孔子の高弟、子路もまた親のために重い米袋を抱えて遠路はるばる移動した逸話を持つ。
164：79B 子罕辞宝（子罕）
宋の国の城主である子罕のもとに璧玉を持ってきた者がいた。しかし子罕はことわる。「私は倹約を宝とする。あなたは璧玉を宝とするのだ。受け取れば、どちらもが宝を喪うこととなるのだ」と。
527：255B 子囊城郢（子囊）
子囊は楚の士大夫。死の床にあり、遺言は「都、郢の防備をしっかりと固めるように」であった。
374：181A 師曠清耳（師曠）
晋の平公の時代、ひとつの鐘が鋳造された。その音色の調律はみなが整っていると言ったが、師曠ひとりが「整っていない」。この鐘はその二百年後、衛の霊公に仕えていた師涓により改めて調律が狂っていることが指摘されたのだとか。
578：280B 周舍諤諤（周舍）
秦に仕えた趙簡子の配下のひとり、それが周舍だ。彼は直言を好み、それによって簡子は常に彼を煙たがっていた。しかしその死後には「彼の諤諤たる直言がなくなり、配下は唯々諾々とするのみだ。このままでは危うい」と語った。
91：44A 庶女振風（庶女）
『淮南子』に載るエピソード。斉の家に母と一男一女がいた。男のもとに嫁が来るが、子が生まれないうちに男は死亡。母は嫁に実家に戻るよう勧めたが、そのまま恭しく母に仕えた。一方娘は母の財産目当てで母を殺す。更にその罪を嫁に着せた。獄につながれた嫁はこのことを天に報告。すると天が怒り、風を呼び、その雷にて堤防を破壊させた。
579：281A 無鹽如漆（鍾離春）
斉の無塩に住む鍾離春はとんでもない醜女として有名だった。中でもその肌は漆のごとく黒ずんでいた。四十になっても嫁の行き先もないといったありさまで、ついに宣王の元に出向いて掃除女として使ってくださいと申し出る。ところが宣王、彼女と話してみたところ、たちまち斉の危うい現況を言い当ててみせる。彼女の助言通りにしたところ国は安定し、そのため宣王は彼女を正妃につけるのだった。
405：196B 周兄無慧（晋悼公兄）
晋の悼公には兄がひとりいた。長幼の序から言えば兄が公位を継ぐべきであったのだが、麦と大豆の区別もつかないレベルの愚か者であったため、公位を継ぐことができなかった。
159：77A 霊輒扶輪（晋霊公）
靈輒は晋の霊公の家臣である趙盾に命を救われたことがあった。やがて靈輒は霊公の衛兵となったのだが、その霊公が趙盾の命を狙う。馬車に乗って逃げようとする趙盾、しかし御者が殺されてしまう。すると靈輒は任務を擲ち、趙盾脱出のサポートをした。
157：76A 西施捧心（西施）
絶世の美女と呼ばれる西施、彼女は憂いのあまりに顔をしかめていた。それを見た醜女がその美しさに憧れ、特に心配事もないのに顔をしかめた。まあお察しである。なお西施はその後越王勾践の策略として呉王夫差のもとに送り込まれ、夫差を骨抜きとする一役を担った。
593：288A 楚昭萍實（楚昭王）
楚の昭王が長江を渡らんとしたときに長江で真っ赤な果実をひろった。すると孔子が「楚の昭王のもとにもたらされた吉祥です」と語る。陳でこのことが童謡に歌われていた、と言うのだ。ちなみに昭王の時代に呉からの攻撃を受けいちど郢を失陥している。「このときの王が昭王だったから、楚は滅びずにすんだ」と孔子は語ったそうである。
389：188B 楚荘絶纓（楚荘王）
楚の荘王が酒宴を開いたとき、ふと明かりが消えた。このとき闇に乗じ、ひとりの士大夫が荘王の側妾のひとりをかどわかそうとするも、側妾は抵抗、男の冠の紐を引きちぎった。そして荘王に「明かりを早くともし、冠の紐が切れた男を捜し出してください。そいつが私に狼藉を働いたのです」と訴え出る。しかし荘王は言う。「酒の席でたがが外れてしまったのは私の責でもある。ならばそれで士大夫に恥をかかせるわけにはゆかぬ」と、みなに冠の紐を引きちぎるよう命じた。後日側妾に紐をちぎられた者は荘王のために奮迅の働きを示した。
191：92A 蘇韶鬼霊（蘇韶）
蘇韶は死後いとこの蘇節の前に霊として姿を現し「死者も君たちと同じくこの地で暮らしているよ、実体があるかないかの違いでしかないんだ」と気さくそうに語り、姿を消した。
607：295A 宋女愈謹（宋女）
春秋宋の女性が鮑蘇のもとに嫁ぎ、姑に恭しく仕えた。その後鮑蘇が衛に外勤となり三年、外勤先で現地妻を娶ってしまう。周囲の人々は離縁しても良いのではと勧めるが、その後も姑に恭しく仕えた。その態度はのちに荘公の耳に入り、彼女のような者こそ女の宗たるべき、と讃えられた。
196：94B 叔敖陰��（孫叔敖）
孫叔敖は幼い頃に双頭の蛇を目撃した。双頭の蛇を目撃した者は死ぬと言われている。そのため孫叔敖、蛇を殺して埋めた。「他の者にこの蛇をみせるわけにはいかない」と思った故である。そして帰宅後母に泣きつく。自分は死ぬのだ、と。しかし母は言う。「陰徳ある者に天はきっと報いてくださいますよ」と。
286：138A 文宝緝柳（孫文宝）
孫文宝は学業を修めるに当たり、柳の葉をつなぎ合わせて木簡の代わりとした。
575：279A 不占隕車（陳不占）
斉の荘公が臣下に殺され、城内は大混乱！ 陳不占は恐怖で全身ガタガタ震えながらも、君主の一大事に駆けつけなくてどうする！ と車に乗り込んだ。しかし恐怖のあまり車の中で死んだ。えっ。
28：13B 程孔傾蓋（程子）
また孔子も、「郯」と言う地で出会った賢人の「程子」と意気投合して、車を止めて蓋、つまり屋根を傾けて話し込んだ。
178：86B 交甫解佩（鄭交甫）
漢水に住まう女神、その娘ふたりは見事な宝玉を身に帯びていた。それを欲しいと思った文人の鄭交甫は歌を捧げ、彼女らから宝玉を貰ったのだが、手元に収めると、たちまち宝玉も、仙女たちも消えていた。
431：209B 田方簡傲（田方）
田子方は魏の武侯に挨拶されるもまるで取り合おうともしなかった。「なんだその傲慢さは」と詰められたところ「おれは別に失うものなんぞ何もない、だから傲慢でもいられるのだ。侯子どの、あんたはそうじゃねえよな？」と言い切った。
124：59B 伯牙絶弦（伯牙）
琴の名人伯牙には鐘子期友人がいた。しかしその鐘子期が死んでしまうと、伯牙は「これでおれの琴を聴かせるべき相手はいなくなった」と琴を破壊した。
35：17A 墨子悲絲（墨子）
墨子は真っ白な糸を見て泣いた。この後この糸が様々な色に染め上げられるのを思ったが故だ。
195：94A 柳下直道（柳下恵）
柳下恵は論語で孔子に讃えられてる直言の士。直言がたたり三度の罷免を受けたが、なお生き様を曲げなかった。そこを曲げたら自分ではない、としたのだ。
36：17B 楊朱泣岐（楊朱）
楊朱は分かれ道に立って泣いた。ここから行く先が様々に分かれることを悲しんだため。
188：90B 養由號猨（養由）
楚王がある猿に向けて矢を射たところ、猿は難なくその矢をキャッチ。ぐぬうとなった楚王、弓の達人である養由基に射かけさせようとした。それでは、と養由基が矢の曲がり具合を調べ始めると、それだけでもう猿は木陰に隠れて号泣した。
40：19B 霊王出髭（霊王）
また前 601 年に「周にヒゲの王が生まれる。彼は国をよく治めるだろう」と予言が下された。そして約三十年ほどして生まれた霊王は生まれながらにしてヒゲを蓄えていた。実際に彼の治世は比較的安定したものになった。
275：132B 漆室憂葵（魯漆室邑の女）
魯にある村、漆室にひとりの女性がいた。彼女は昔、晋からやって来た客を泊めたとき、彼の乗っていた馬を繋ぐ紐が切れて、彼女の畑の葵を軒並みだめにされたことがあった。そんな彼女は国主たる穆公が年老い、太子が幼いことを憂えていた。隣人が「女子供の気にすることかね」と笑うと、過去の話を持ち出し、思いがけぬ事が思いがけぬ害に繋がるのだ、と語った。事実数年後に内乱から魯の政情は一気に悪化した。
98：47B 卞和泣玉（和氏）
楚の和氏が山中で見事な璧玉を手に入れた。王に献上してみれば「ただの石ですよ」と鑑定され、偽装罪で足の腱を切られた。王の代が変わったのでもう一回献上すればやはり同じ結果となった。更に王の代が変わるが、このときはただ璧玉を抱いて泣くばかり。その理由を聞けば「刑を受けたことが悔しいのではない、確かな宝を献上したい真心を詐称と言われたのが悔しいのだ」と語る。それを聞いてついに王の元に収められ、磨いてみれば、確かに極上の璧玉であった。そう、これが「和氏の璧」だったのです。
350：169A 豫讓吞炭（豫讓）
豫讓は晋の知伯に仕えた。知伯が趙の襄子に殺されたため、炭を飲んで自らの声を潰すなど、我が身も省みず報復を試みた。結局捕まり殺されるのだが、その姿勢に襄子は深く感じ入っている。
477：232B 扁鵲起虢（扁鵲）
扁鵲もやはり神医。虢と言う地にさしかかったとき、その国の皇太子が死んだ。しかし扁鵲が駆けつけ、弟子とともに処置を行うと、見事に復活させ、二十日ほどのちには元気になったのだ。
298：144A 晏御揚揚（晏平）
斉の景公に仕えた晏子の車を引く御者は四頭の馬を率い、いかにも誇らしげであった。それを妻に「ご主人様があれだけ謙虚なのに、その召使いのあなたが威張り散らすなんて！」と怒られ、以後振る舞いを改めた。
163：79A 澹台毀璧（澹台滅明）
澹臺は値千金ともされる璧玉を所有していた。その璧玉を持って川を渡ろうとすると、その川の神が璧玉を欲し、大風で川を転覆させようとしたりサメをけしかけたりして奪い取ろうとする。そのいずれをも乗り越え、渡河を終えると、澹臺は璧玉を川に投じた。神は返却してきた。投げた。返ってきた。投げた。返ってきた。しまいには澹臺、璧玉を破壊した。
192：92B 盧充幽婚（盧充）
盧充は漢代の人。狩りの途中に迷い込んだ官舎でひとりの女性にめあわされた。ｵｾｯｾｾを楽しんで、三日後に官舎を去ることに。「彼女は妊娠した。息子だったら君の元に返そう」と別れ際に言われ、果たして三年後、母の形見とともに盧充のもとに息子がやって来る。後日母の姉妹人に話を聞けば、盧充にめあわされたタイミングではとうに死んでいたはずなのだが、とのことだった。
285：137B 范蠡泛湖（范蠡）
范蠡は越の勾践に仕えた軍師だったが、王からの猜疑心の犠牲になる前に湖を越え出奔。斉や陶で成功を収めた。
552：268A 蕭史鳳台（蕭史）
蕭史は秦の穆公の時代の人。蕭、要は笛の名手であり、その音を聞くために鳳凰すら降り立ってきた。
447：217B 賈氏如臯（賈氏）
賈と言う姓のひとはめっちゃ醜かったが、その妻は美しかった。ただし夫に対して三年間、まともに会話しようとも笑顔を見せようともしなかった。やがて臯の地で狩りをした時、賈氏、羽ばたく雉を一発で射貫く。それを見て初めて夫人が笑う。その笑顔を見て「才能は磨いておくものだ、お陰でお前に笑ってもらえた」と語った。
309：148B 閔損衣單（閔子騫）
孔子の弟子、閔子騫（損は名）は継母にいびられていた。寒くてもまともに衣服すら与えられないありさま。一方継母の子には暖かい着物を与えている。この不平等に怒った父、継母を離縁すると言い出す。すると閔子騫は取りすがる。そうしたら何の罪もない継母の子たちが寒い思いをするから、と。これに感じ入った継母氏、その後は心を入れ替えたそうな。
160：77B 魏顆結草（魏顆）
一方の魏顆もやはり春秋晋のひと。文公の配下である魏犨に仕えていた。魏犨には側妾がいたが、二人の間に子がいない。魏犨は病を得ると側妾を魏顆にめあわせようとするのだが、病がひどくなると、今度は殉死させろ、と言い出す。結局魏犨の死後娶ることにした。「危篤の人間はろくでもないことを言うものだ」と言うことで。後日杜回男の反乱を食い止めようとしたとき、魏顆は草を結んでおき、杜回を転ばせようとした。策は的中、杜回は捕まり、処刑される。その後、魏顆の夢に杜回があらわれ、言う。「わしはそなたの妻の父だ。娘を救ってくれたので、このような形で報わせて貰った」と。
532：258A 齊景駟千（齊景公）
斉の景公は、世説新語で「景公は四頭引きの馬車千両を持っていたが、それを讃えられていたかね？」と無益な贅沢を誇った人物として書かれる。
293：141B �貔銘ヽ僉庖貔漫�
一方の寧戚は呂氏春秋の引く三斉略記より。春秋五覇の筆頭として知られる斉の桓公がお忍びで夜のお散歩をしていた。すると寧戚が、飼っている牛の角をポコスカ叩きながら、大声で桓公の治世を批判する歌を歌っていた。桓公が話しかけてみると知者だったため、重臣として召し抱えた。
581：282A 邾子投火（邾子）
左伝定公三年、邾の荘公は邸内で門衛が瓶の水を流しているのを見て切れた。門衛が「ここで小便したやつがいたので、流しているのです」とそれにも切れた。怒りのあまりベッドから飛び降りようとしたところ誤って火をくべる釜の中に落ちた。そのやけどが元で死んだ。
351：169B 鉏麑觸槐（鉏麑）
鉏麑もやはり義士。横暴な暗君である晋の霊公に仕えた。霊公をしばしば諫めてくる趙の宣子を殺すよう命ぜられたが、宣子のきりりと整った居住まいを目の当たりとし、どちらが正しいのか煩悶したあげく、彼を殺すことはできないと頭を槐の木にぶつけて死んだ。
戦国時代（33件）
43：21A 燕昭築台（燕昭王）
燕の昭王が人材を集めたいと心するに当たって郭隗より「私を厚遇すれば人材が集まってきましょう」と言われたので土台を盛り、その上に邸宅を築いた。その結果人材がわんさと集まってきた。
480：234A 韓子孤憤（韓非子）
韓非子は「孤憤」編にて法家のやっていることは正しいが厳しく、故に徒党を組む者たちの批判にさらされるであろう、と説いた。
187：90A 紀昌貫蝨（紀昌）
紀昌の放つ弓はシラミを狙って射貫いた。
323：155B 漁父江濱（漁父）
漁父はすげなく返した。
406：197A 虞卿擔簦（虞卿）
戦国趙の孝成王にまみえた虞卿はわらじに簦（長柄の傘のようなもの）のみをもった程度の格好だったが、ひとたび自説を説けば、たちまち孝成王に重んじられるのだった。
322：155A 屈原沢畔（屈原）
楚で重んじられながらも、数々の讒言にあい、ついには世を儚んで自殺した大詩人、屈原。彼が自殺するよりも前、心労で憔悴していたときに漁父と長江のほとりで出会ったのだ。そこで「おれひとりが正しいばかりにひどい目に遭う」と洩らした屈原に「知らんわ。俗塵にまみれてるからじゃ」と漁父はすげなく返した。
580：281B 姑射若冰（姑射山の神人）
姑射山には神人がいて、その肌は氷のごとくであり、様々な奇跡を起こしたのだ。
361：174B 春申珠履（春申君）
一方の春申君は、食客のうち上位のものには宝石でできた靴を履かせていた。
248：119A 淳于炙輠（淳于髠）
輠のは車の動きがきしまないための潤滑油を入れておく器。これをあぶるとそのうち油は溶けてなくなってしまうのだが、斉の威王・宣王に仕えた淳于髡の知謀は「いくら炙っても尽きることがない」。一つのキーワードで三日三晩語らせてもまったく問題ないレベルなのだ。
539：261B 須賈擢髪（須賈）
対する須賈は魏の論客。ライバルの范雎を嫉妬心から讒言、貶めた。そんな范雎がのちに秦の宰相にまで上りつめる。そうとも知らず、魏の外交官として秦に向かった須賈。范雎ははじめみすぼらしいなりで須賈の前に現れた。その境遇を憐れんだ須賈は衣類などを恵むのだが、ややあって范雎、現在の立場を明かす。驚いた須賈、すぐさま上半身裸となり土下座、「どんな罰も受ける、俺の髪を根こそぎ引っこ抜いても構わん」とまで言う。それを聞き范雎は過日の恨みを濯いだ。
484：236A 西門投巫（西門豹）
戦国魏、文侯の時代。鄴に西門豹が就任した。この頃鄴では川にいけにえを捧げる儀式が無駄に豪勢になっており、それで費用がかさんで人々が苦しんでいた。なので西門豹、ひとまず祭祀の開催を待ち、「やっぱり神に捧げるのは位の高い者じゃないとね！」と、いけにえでなく、祭祀を執り行う巫女やら神官やらを手当たり次第川に投げ込んだ。その後周辺の水利を整えた。
141：68A 齊后破環（斉襄王妃）
斉の湣王が亡命の末殺され、息子の襄王は名を偽ってとある家に匿って貰っていた。ら、その家の娘が襄王に惚れてｵｾｯｾｾ。はい、のちの君王后です。襄王死後、秦から難解な知恵の輪が送られてきた。斉の知謀どんなもんじゃいわけである。斉の臣下らが解けなくて呻吟していたところ王君后、ハンマーでぶっ壊した。お前は�睛里�。ともあれ彼女の指導があったため、彼女の健在中は秦もうかつには攻められなかった。
274：132A 宿瘤采桑（斉湣王妃）
斉の湣王の妃はもと桑摘み女で、首に大きなこぶがあった。湣王が彼女の仕事場近くに来たとき、他の者はぬかずくも、彼女は無視して仕事に精を出す。聞けば「桑を摘むことは教わったが王にぬかずくことは教わっていない」と言う。王が「面白い女だ、瘤があるのが難点だが」と言えば「私はこれを天職としていて、あなたとあずかり知らぬ存在。瘤の有無になんの障りがあるのか」とぴしゃり。すっかり気に入った湣王、彼女を妻として王宮に引き連れようとする。すると今度は「親に断りも無しで向かわせようとするのか？ あなたは家出娘でも娶りたいのか？」とまたぴしゃり。くそうこのひと面白いな！ 彼女が妃として健在であった間斉は栄えたが、彼女の死後間もなく燕よりの総攻撃を食らいました、とのことである。
42：20B 荘周畏犧（荘周）
荘子は田舎で悠々自適の暮らしをしていたが、あるとき宮廷よりの召喚を受ける。荘子はそれを蹴った。いわく、「何が悲しゅうて生贄の牛になりにいかにゃあかんのだ」と。
330：159A 干木富義（段干木）
段干木は魏の文侯より尊敬こそ受けていたものの、魏よりの俸禄は固辞し、慎ましい生活を送っていた。文侯は「段干木は道義豊かな方である。自分は財貨こそ豊かではあるが、では道義と財貨が豊かであること、どちらが優れたことであろうか？」と語っている。
234：112A 樗里智囊（樗里子）
樗里子は秦の恵王の弟。甥の武王の宰相として活躍し、ユーモラスな語り口でありながらも大変な知恵者であった。死に妻子、墓の場所を選定すると「後の世に、天子の宮殿がこの墓を挟み込むのだろうな」と語った。事実漢の時代に、樗里子の墓を長楽宮と未央宮が挟む形になった。
260：125A 程邈隸書（程邈）
牢の番人だった程邈は罪を得て自分が牢獄に繋がれることになったものの、そこで隸書を産みだしたのだ、と言う。この文字は始皇帝に献上されて、公式フォントになった。
535：259B 田文比飯（田文）
斉出身の戦国四君、孟嘗君は食客達とまったく同じレベルの食事をしたのだという。そういうこともあって多くの食客に慕われた。
169：82A 田單火牛（田單）
斉の将軍として立った田単は燕軍に城を包囲されたとき、千頭の牛を集め、角には刀を縛り付け、尾にはよく油のしみこんだ藁を巻き付けた。そして牛たちの尾に火をつけて燕軍に飛び込んでませ、燕軍を壊滅させた。
393：190B 田駢天口（田駢）
一方，斉の宣王に仕えた田駢も弁舌に優れていた。「天口の駢」と自称していたのだ。その自称通り、どえらく壮大なことを説いて回ったのだとか。
551：267B 白起坑降（白起）
一方の白起と言えば当然長平。四十万の兵の投降を受け入れた、ふりをして、ことごとく穴埋めにした。
388：188A 趙勝謝躄（平原君）
平原君＝趙勝は賓客を尊んでいたのだが、その中にびっこを引く者がいた。平原君の側妾のひとりが彼を見て笑う。びっこの男は平原君に「あなたは賓客を尊び側妾を卑しむと聞いた。ならばあの女の首を落とせ」。平原君、笑いながら適当に返事をする。するとしばらくして平原君のもとから賓客がひとり、またひとりと立ち去った。「あなたが賓客を卑しみ側妾を尊ぶのがわかったからだ」と例のびっこの男が指摘。そこで平原君、側妾の首を落とし、びっこの男に謝罪した。すると再び賓客が平原君のもとに集まるようになった。
140：67B 軻親斷機（孟子母）
孟子の本名は孟軻。その母は教育熱心であり、孟子の教育環境改善のために二度の引っ越しをした。それほどの熱の入れようなのに、息子に進捗を聞くと「まぁまぁかな」などとほざく。なのでママ氏、いきなり自らの機織り機をぶち壊し「お前の学が断たれるのは、私の機織り機が壊れるのと同じなのよ！」と絶叫。よくわかんないけど迫力に負けた孟子、それからは学業に打ち込んだそうな。
121：58A 孟軻養素（孟軻）
孟子は士官を志したけどことごとく失敗した。そんな孟子が著書に「我善養吾浩然之気」、素朴ではつらつとしたエネルギーを養ってるよ、と語った。
538：261A 廉頗負荆（廉頗）
藺相如への対抗心に目がくらみ、藺相如が見ていたもの（秦よりの防衛）を見失っていたことを恥じた廉頗は茨の鞭であがなおうとした。
284：137A 仲連蹈海（魯仲連）
魯仲連は戦国時代の優れた論客。戦国四君の平原君に重んじられたが、その後ふらりと失踪した。失踪前に「秦に仕えるくらいなら海に飛び込んで死んだ方がマシですよ」と言っている。
568：276A 將閭仰天（將閭）
秦に仕えた將閭は趙高の策略にハマり、処刑されることになった。そこで天に向け三度、「わたしに罪はないのだ！」と叫び、自殺した。
252：121A 巫馬戴星（巫馬期）
ふたりとも単父と言う地の長官で、その土地をよく治めていた。しかし前者は早朝から夜遅くまで方々を飛び回っての統治、後者はほぼ役所で琴を弾きながらの統治であった。ヘトヘトになっていた巫馬期は、宓子にどのように治めていたのかを問う。「そりゃ、人々に任せていたからさ。自力でどうにかしようとすれば疲れるに決まってる」。
94：45B 晏嬰脱粟（晏嬰）
斉の景公に仕えた名宰相、晏嬰は脫粟、要は玄米をいただくぐらいで、食を贅沢にしようとはしなかった。
92：44B 鄒衍降霜（鄒衍）
鄒衍は斉に仕えた後、燕に仕えた。しかし讒言を受け、獄につながれる。天を仰ぎ嘆く鄒衍。その思いを聞き遂げた天は、真夏にもかかわらず燕の地に霜害をもたらした。
531：257B 馮驩折券（馮驩）
戦国時代の斉のひと、馮驩。孟嘗君に仕えたが、その振る舞いはまるでヒモのよう。孟嘗君はあきれていたが、しかしその弁才は確かだったので養い続けた。あるとき馮驩に薛せつの民の借金を返済させる役目を任じた。馮驩が薛に赴くと、みなひもじい暮らしで身動きもまともに取れない状態だった。なので馮驩、民たちの前で証文を焼いてしまう。孟嘗君は激怒したが、結局はこのために薛公として受け入れられ、身を全うした。
253：121B 宓賤弾琴（宓子）
ふたりとも単父と言う地の長官で、その土地をよく治めていた。しかし前者は早朝から夜遅くまで方々を飛び回っての統治、後者はほぼ役所で琴を弾きながらの統治であった。ヘトヘトになっていた巫馬期は、宓子にどのように治めていたのかを問う。「そりゃ、人々に任せていたからさ。自力でどうにかしようとすれば疲れるに決まってる」。
186：89B 翟璜直言（翟璜）
そして翟璜も直言の人であった。魏の文侯が中山を滅ぼしたところ、本来そこは弟に封爵地として与えるべきであったにもかかわらず、自らの子に与えてしまう。これを翟璜に「仁ならざる振る舞いである」と直言を受け、激怒。しかし直後「任座」が「仁君のもとには直言の士がいる者だ、ならば文侯は仁君と言えよう」と言う。これに文侯も唸り、翟璜の言を受け入れ、褒美を与えた。
秦漢交代期（24件）
139：67A 陵母伏劒（王陵母）
劉邦の配下将、王陵の母親が項羽に囚われた！ 人質として交渉しようとする項羽であったが、辱めに遭うくらいならば、と、王陵の母はみずから剣の上に身を投げ、死んだ。
236：113A 滕公佳城（夏侯嬰）
前漢、劉邦の側近のひとりである夏侯嬰の称号が滕公。馬に乗って東都門に至ったところで突然馬がここ掘れヒヒーンとし始める。そこを掘ってみれば、古代文字で「この佳城（＝墓のこと）は三千年もの間土の中で眠るが、やがて日の目にさらされる。この地に滕公が葬られることとなろう」と書かれた石版が発掘された。なので夏侯嬰は死後その場所に葬られた。
307：147B 韓信升壇（韓信）
劉邦はそれまで無名であった韓信を大将軍に抜擢した。
336：162A 漂母進食（韓信）
韓信は貧乏もので、日々の食事もろくに取れないありさまだった。それを憐れんだわた洗いの婦人に食事を恵んでもらった。そして漢の誇る大将軍として立身した韓信、彼女に厚く酬いた。
115：55A 季布一諾（季布）
季布は項羽配下の将として劉邦を苦しめたため賞金首となったが、季布を慕う民よりの必死の懇願により許され、諸侯に任じられた。そこでの統治においてもまた「季布さまよりお認め頂くことは百金を得ることよりも貴い」と讃えられた。
403：195B 紀信詐帝（紀信）
劉邦が項羽に包囲を受けたとき、紀信は自分が囮になるうちに逃げよと、劉邦の衣服、馬車を譲り受け、それらを用いて項羽の前に降伏。それが本物かどうかを項羽が確認している隙を見て、劉邦は包囲から脱出した。その後紀信は項羽に焼き殺された。
585：284A 周勃織薄（周勃）
周勃、灌嬰は、ともに劉邦に仕えて功を挙げ立身している。そしてその出自は二人とも機織りものを編む職人出身である。楚漢ドリームの体現者ふたり。
66：31B 叔孫制礼（淑孫通）
叔孫通が儀礼を制定した、と言うわけだ。
90：43B 曹参趣裝（曹参）
曹参は劉邦の決起以来の腹心。蕭何とはいいコンビであった。項羽討伐以後、斉の宰相としての辣腕を振るっていたが、ある日蕭何死亡の報が飛び込んでくる。それを聞いた曹参は礼服に着替え、長安に出る準備を整えさせた。漢の宰相としての招聘があるから、と言うのである。果たして曹参は蕭何の後継として招集を受け、蕭何亡きあとの漢を支えた。
107：52A 丁公遽戮（丁公）
丁公は項羽に仕えていた将。劉邦とも旧知の仲であった。ある戦争において劉邦を追い詰めたのだが、旧知の仲であることを理由に見逃した。のちに劉邦に帰順。命を助けた恩をもとに褒美をもらえると出向いたところ「お前のせいで項羽は敗北した。お前のような不忠者を飼えば何が起こるかわからぬ」と殺された。
544：264A 子房取履（張良）
張良は若い頃謎のジジイに会った。そのジジイはいきなり自分の履いている草履を橋の下に投げ捨て、取ってこい。内心ムカつきながらも取りにいってやった張良、その後も散々嫌がらせをされるのだがじっと付き合った。やがてそのジジイから一冊の書が渡された。なんとそれは太公望の著した兵法書だったのです！ なっなんだってー！
590：286B 張良燒棧（張良）
劉邦によって閉ざされていた函谷関を、黥布が間道を使って裏から襲撃、開かせた。その後劉邦が漢中王として任地に赴く際、漢中に至るため山道に通されていた道を張良が焼き払うことで、劉邦に逆襲の意図無しと見せかけるようにした。
173：84A 陳平多轍（陳平）
陳平は劉邦のもとで多くの献策をした大功臣だが、その交友はド派手なものだった。陳平の家の前にはつねに多くの金持ちの人間が訪れるため、轍がたくさん残されていた。
263：126B 丙吉牛喘（丙吉）
前漢の宣帝の丞相となった丙吉は道ばたで牛が喘いでいるのを見て飢饉の前触れを察し対策を打つも、道ばたでトラブルがあってもスルーした。飢饉は天下のこと、トラブルは町の長官の仕事、わけである。
310：149A 蒙恬製筆（蒙恬）
秦の将軍蒙恬が筆を開発した、と言うことになっているらしいのだが、いやどう考えてもそれ以前にもあっただろとツッコミも入っている。「ただまぁその呼称が定まってなくて、蒙恬の時にようやく呼び名が統一されたとかなのかもね」とは言われている。
370：179A 優旃滑稽（優旃）
優旃は始皇帝の時代の役者。滑稽な物言いでやんわりと始皇帝や二世皇帝胡亥に諫言を為したことで知られている。例えば胡亥が城を漆で塗り上げたいと言えば「よござんす、よござんす。ただ漆を乾かすための小屋がえらくどでかくなって大変でしょうなあ」と言ったのだとか。彼は漢の時代に入って死んだ。
56：26B 漢祖龍顔（劉邦）
対する劉邦は龍のごとき貴人の顔、とされる。なんか劉邦ってクソ親父＆クソ器デカ親父って感じで、どうにもこうにも規格外の存在過ぎるんですよねえ……。
550：267A 婁敬和親（婁敬）
婁敬は劉邦に戦略面で関わったひと。匈奴に和親のため呂后との間の娘をおやりなさい、とも説いた。これは呂后により却下され、親族筋の娘が送り出されたのだが。
73：35A 樊噲排闥（樊噲）
劉邦が死にかけたとき、死の床には誰も入れるなと語っていた。が、樊噲、その禁令をぶち破って死にかけの劉邦のもとに押しかける。こういった果断さが鴻門の会において項羽を前に一歩も引かない大立ち回りで劉邦を助ける原動力になったのだ、とする。
586：284B 灌嬰販�咫舗�嬰）
周勃、灌嬰は、ともに劉邦に仕えて功を挙げ立身している。そしてその出自は二人とも機織りものを編む職人出身である。楚漢ドリームの体現者ふたり。
65：31A 蕭何定律（蕭何）
劉邦のもとでルールを定めたふたり。蕭何が法律を、
108：52B 雍歯先侯（雍歯）
雍齒は劉邦に対し従反常ならぬ振る舞いをしており、殺したいほど憎まれていた。しかし論功行賞において、誰よりも先に諸侯につけられた。これによって臣下らは劉邦が公正な論功行賞をなすのだと安心した。
589：286A 黥布開関（黥布）
劉邦によって閉ざされていた函谷関を、黥布が間道を使って裏から襲撃、開かせた。その後劉邦が漢中王として任地に赴く際、漢中に至るため山道に通されていた道を張良が焼き払うことで、劉邦に逆襲の意図無しと見せかけるようにした。
343：165B 酈生長揖（酈食其）
酈食其が劉邦に面会したとき、劉邦はその足を側女に洗わせていた。なので酈食其、さっと軽く礼をしたのみ、つまり仕えるべき相手ではなくその辺の人扱いした上で言う。「そなたが本当に暴虐なる秦を打ち倒したいのであれば、両足を投げ出したままで人材と会おうとは思われぬことですな」劉邦、この言葉に慌てて謝罪した。
前漢（108件）
400：194A 衛青拜幕（衛青）
漢の武帝の時代、衛青は匈奴征伐の陣幕内で大将軍の地位を拝命した。ちなみにこれが「幕府」の語源になっている。霍去病は武帝より邸宅を下賜されたとき「匈奴も滅ぼし切れていないのに邸宅になぞ住まってはおれません」と下賜を辞退した。
303：145B 王貢弾冠（王吉）
前漢宣帝の時代の王吉と貢禹、哀帝の時代の蕭育と朱博はともに幼い頃から友人同士であった。彼らはそれぞれが同じほうを向き、お互いに推挙し合い立身を遂げた。
24：12B 王商止訛（王商）
前漢平帝の治世時、長安に、唐突に「洪水到来……か！？」のデマが飛ぶ！ このデマはなぜか皇帝まで巻き込まれる大騒ぎとなったのだが、その中にあって王商、泰然と「城郭をも侵すほどの洪水？ そんなもの来るわけないでしょう」と一刀両断。結局洪水は来なかった。
497：241B 王尊叱馭（王尊）
前漢の王尊は益州の長官に任じられ、任地に向かう。その道すがら、険阻な道にさしかかる。ここは昔のひとも引き返した道ですので行くのを諦めましょう、と御者が怯えると、忠義の士がお役目を全うせず逃げ出せなぞせぬ！ と御者を叱り飛ばし、進ませた。
554：269A 王陽囊衣（王陽）
琅邪王氏の祖とも言える前漢昭帝時代の名士王吉、あざな子陽。その子や孫は大官にいたり豪奢を極めたのだが、彼らの立身の礎を築いた王吉自身は常に慎ましさを維持していた。人々はかれが子孫のための黄金を作った、と讃えた。
33：16A 黄覇政殊（黄覇）
前漢宣帝時代の名地方官、黄覇。彼は地方統治では抜群の手腕を見せた。その腕を買われてついには宰相にまで上りつめた。もっとも宰相としての統治は地方長官時代の時ほどの冴えを見せなかったが。
479：233B 何武去思（何武）
前漢成帝の時代、蜀で公平な人物の推挙をなした何武は、沛郡でも、中央でもはやり公平な推挙をなした。中央では儒者と官吏との間を取り持ったりもしたが、最終的には王莽に忌まれ、自殺に追い込まれている。
277：133B 夏侯拾芥（夏侯勝）
同じく前漢の夏侯勝は宣帝の頃太子大夫となり、九十才で死亡した。彼は弟子たちに「学問をしっかりと修めれば栄達なぞゴミを拾うように容易い」と語っていた、。
346：167A 郭解借交（郭解）
前漢は武帝の時代の大侠客、郭解。様々な悪事を犯すもとらわれることなく、やがて自らの悪事を悔いて心を入れ替える。とは言え郭解を悪く言う者たちについては、本人のあずかり知らぬまま取り巻きたちが密かに復讐していたのだ。最終的には武帝に捕らわれ、取り巻きもろとも皆殺しとなった。
282：136A 郭巨將坑（郭巨）
郭巨が貧乏暮らしのあまり自らの母と自らの子、どちらかを見放さねばならない事態に陥った。迷った末に子供を埋め殺そうとした。ら、掘った穴から金塊が出てきた。「天は孝子の郭巨に官位も人も諦めさせるつもりはない」と刻まれていた。
465：226B 長孺国器（韓安国）
前漢武帝の時代に御史大夫にまで立身した韓安国、あざな長孺は、呉楚七国の乱において梁王劉武がこの乱に関与するのを食い止め、むしろ平定に尽力させた。やがて罪を得て収監されるのだが、その人器の大きさが認められ、獄中にありながらにして地方長官に任じられるほどであった。やがて武帝よりそなたは国の器だ、とまで讃えられるに至る。
295：142B 顔駟蹇剝（顔駟）
前漢の武帝が役所に訪問したとき、かなり険阻な顔の老人が働いていた。聞けば文帝の時代から小役人としての働きのままであった。その理由は顔が恐いから。武帝は彼をあわれみ、会稽太守に任じた。
444：216A 義縱攻剽（義縱）
ともに前漢武帝に仕えた酷吏。義縱は群盗上がりの役人。その統治は苛烈の一言であり、ちょっと悪いことしたやつを見かければすぐ殺す、の勢いだった。偉い人でも構わず殺した。あまりにも行きすぎていたので武帝はどうにかして義縱を陥れようと企み、尻尾を掴んだ瞬間側処断した。
530：257A 汲黯開倉（汲黯）
前漢武帝に仕えた直言の士、汲黯。かれは河内で火事が起こったときに武帝より視察を命じられたが、その地に貧民がたくさんいるのを知り、火事のことはシカトして、河内の倉庫を開放、貧民たちに施させた。それでそれを堂々と武帝に報告してのけた。だいたいがこんな感じで、武帝も存在をはばかりこそしたが、忠義の士であることは疑いようもなかったため処罰することはなかった。
516：251A 許史侯盛（許氏）
前漢の宣帝皇后許氏は本人こそ霍光の娘の策謀によって殺されたが、その親族たちが多く諸侯として封爵を受け、栄華を極めた。また宣帝の祖母に当たる史良娣も武帝の巫蠱事件に巻き込まれ殺されたが、その子孫らの多くが栄達に与っている。
326：157A 京房推律（京房）
前漢元帝の時代の易者、京房は抜群の腕前を誇っていたが、師よりは「わしの術を使って身を滅ぼす者がいるとしたら京房であろう」と危ぶまれていた。そして実際に時の権勢者である石顕らと衝突、結果刑死している。
9：5A 匡衡鑿壁（匡衡）
前漢の学者匡衡は、若い頃貧乏暮らしであったため明かりをともす余裕もなかった。そこで家の壁に穴を開け、隣の家の明かりで書物を読んだ。最終的には元帝の時代に丞相にまで至っている。
399：193B 弘羊心計（桑弘羊）
桑弘羊は前漢武帝の時代、暗算術の巧みさでもって高位にたどり着いた。そして財政の逼迫を立て直すための苛烈な徴税策を次々と打ち立てた。昭帝の時代に謀反を起こし、処刑された。
29：14A 劇孟一敵（劇孟）
前漢、呉楚七国の乱ころ、呉楚の王は劇孟を獲得できなかった。漢サイドでは「彼をひとり得れば一国分の兵力を得たようなものだ」と大喜びだったのだが。
266：128A 馮媛当熊（元帝・馮氏）
前漢元帝の側室馮氏は平帝の祖母に当たる。あるとき熊と虎を戦わせる催しがあったとき、熊が逃げ出した！ みなが慌てふためいて逃げようとするところ、馮氏、平然と熊の前に立つ。「熊は一人食べれば満足します、陛下を食べさせることに比べればマシでしょう」と。結局馮氏も助かったのだが、これによって元帝は馮氏を更に重んじるようになった。
381：184B 君平賣卜（厳遵）
前漢の占術者厳遵、あざな君平。彼は成都にて占術の商売を行い、人々に生きる道を説き続けたそうです。占術師はいやしい職業とされていましたが、しかし彼は誇りを持ってその仕事を貫きました。
299：144B 五鹿嶽嶽（五鹿充宗）
五鹿充宗もやっぱりその手のエピソード。前漢元帝時代の易学者で弁舌バリバリであったのだが、朱雲学者にベキベキにへし折られまくった。
155：75A 寿王議鼎（吾丘寿王）
前漢武帝の時代、汾水の南で美しき鼎が発掘された！ 宮中の皆は「素晴らしき周の宝が発見された！」と大喜びしたが、吾丘寿王は「だまらっしゃい！ この鼎が出現したのは漢の徳が極限に至ったことを天が嘉したもの、つまり周の宝じゃなくて漢の宝じゃ！」と言ったのだとか。ブテーヘーカはその発言を讃えた。
505：245B 漢相東閣（公孫弘）
漢の武帝に仕えた公孫弘は東閣にて国を支えるべき人士らと交流を深めた。
302：145A 蕭珠結綬（貢禹）
前漢宣帝の時代の王吉と貢禹、哀帝の時代の蕭育と朱博はともに幼い頃から友人同士であった。彼らはそれぞれが同じほうを向き、お互いに推挙し合い立身を遂げた。
344：166A 馬安四至（司馬安）
前漢の司馬安は武帝の時代からその厳格な裁きなどから、実に四代の皇帝の治世にて九卿、つまり準トップの地位を確立していました。
414：201A 相如題柱（司馬相如）
前漢武帝に仕えた司馬相如は蜀出身の人。蜀から立志を夢見て都に向かうとき、都に至る橋、昇遷橋の柱に「四頭引きの馬車に乗れるような士大夫となれるまで、故郷には戻らぬぞ」と書き付けた。
518：251A 許史侯盛（史氏）
前漢の宣帝皇后許氏は本人こそ霍光の娘の策謀によって殺されたが、その親族たちが多く諸侯として封爵を受け、栄華を極めた。また宣帝の祖母に当たる史良娣も武帝の巫蠱事件に巻き込まれ殺されたが、その子孫らの多くが栄達に与っている。
216：103A 史丹青蒲（史丹）
前漢元帝の時代の人、史丹。病がちの元帝が成帝を見て後継にすべきかどうか迷っていたところ、史丹は青蒲、すなわち元帝の寝床のそばで号泣。今更皇太子を変えてしまっては政が大混乱する、と訴え出た。元帝もそれを受け入れ、成帝を皇太子としたまま死亡した。
422：205A 朱雲折檻（朱雲）
前漢成帝に仕えた朱雲は成帝が佞臣にたぶらかされているのを命を賭し諫言。牢に連れ去られそうになったが、必死に欄檻に捕まり、欄檻が折れるまで訴え続け、ついにその誠意が認められた。ただし成帝は奸臣を退けなかった。
347：167B 朱家脱急（朱家）
楚漢戦争にて劉邦を大いに苦しめたためお尋ね者となった、季布。かれは魯の朱家にて小間使いに身をやつしていた。そこは他にも多くの亡命者を匿ったりしていた。やがて朱家の主は季布の命を助けるよう密かに嘆願。最終的に季布は漢で貴顕にまでなるのだが、朱家のものは最後まで季布に恩を売ろうとはしなかった。
238：114A 買妻恥醮（朱買臣妻）
朱買臣は五十をちょっと過ぎたあたりで初めて漢の武帝に取り立てられ栄進したのだが、それまでは本を読んで芝刈りをしてばかりであった。栄達の直前、妻はそんな朱買臣に失望して離婚。そして朱買臣は栄達後故郷に戻り、元妻と、元妻が新たに選んだ夫を食事に招待。元妻は恥ずかしさのあまり自殺した。いや朱買臣さんあんたもなかなかえげつねーことなさる。
37：18A 朱博烏集（朱博）
前漢哀帝時代の人。カラスたちが宮殿にこぞっているのを見て「これは皇帝権が軽いあかしだ、御史中丞＝不適格な官吏を弾劾する責任者がいないためである」と語り、自らがその座について綱紀引き締めにかかった。
301：145B 王貢弾冠（朱博）
前漢宣帝の時代の王吉と貢禹、哀帝の時代の蕭育と朱博はともに幼い頃から友人同士であった。彼らはそれぞれが同じほうを向き、お互いに推挙し合い立身を遂げた。
445：216B 周陽暴虐（周陽）
周陽由は自分の好みで救済処罰の基準を定め、およそ法律を守ろうとしなかった。郡の役人となれば太守から実権を奪うし、太守となれば配下をいいようにこき使う。太守として任地に出向けば地元の豪族を殺し尽くす。最終的には河東郡の役人として赴任したときに太守から実権を奪おうと争い合い、殺された。
415：201B 終軍棄繻（終軍）
同時代の、やはり文人である終軍は武帝より招集を受けて東方から函谷関入りするときに繻、すなわち割り符を渡された。返ってきた際にこれを見せろ、と言うのだ。すると終軍、「ふざけんな俺は立身するんじゃ、こんな割り符で照合される必要のない高官になってやるわい」と割り符を投げ捨ててしまったそーである。こ公共物破損ンー！！！
67：32A 葛豐刺舉（諸葛豊）
前漢の諸葛豊の剛直さは凄まじく、どんな立場の人間であっても弾劾すべきものは弾劾した。このため元帝の時代、しばらく会わなかった相手には「諸葛豊殿にぶち込まれでもしていたのかね？」とジョークが交わされた。
541：262B 申嘉私謁（申屠嘉）
申屠嘉は劉邦に仕えた武人で、文帝の時に丞相にまで至った。しかし私的な訪問は一切受けなかった。
267：128B 班女辞輦（成帝・班氏）
前漢成帝の側室班氏は、成帝の外出に当たり車にて隣に座るよう命じられた。しかし班氏はそれを辞退。「聖王の隣には名臣が座るもの。しかるに昏王は美姫を隣に座らせます」と。この受け答えに成王は感じ入り、褒美を下した。ちなみに彼女はのちに、当時の猛獣趙皇后、こと趙飛燕からの誣告も突っぱねている。
385：186B 飛燕体軽（成帝趙皇后）
同じく前漢、成帝の皇后であった趙飛燕。彼女は妹の趙女弟とともに、たぐいまれな踊りの才能を示して成帝に寵愛された。が、子をなすよりも前に成帝が死亡。一説には趙女弟といたしていたときに腹上死したと言われている。このため趙女弟は自殺。趙飛燕はその後も漢の政争の場に立ち続けたが、ついには王莽との政争に負けて自殺した。
366：177A 石慶数馬（石奮）
前漢武帝に仕えた石慶は父や兄たちとともに歴代皇帝よりの覚えめでたく、みな高官につけられていた。武帝の乗る六頭引きの馬車の御者をしているとき、武帝から「何頭の馬が引いているのだ？」と聞かれ、きっちり一頭一頭を数えた上で報告。一門の中でもっとも大雑把と言われていた石慶ですらこれだけ恭しく皇帝に仕えていた。
570：277A 二疏散金（疏広）
疏広とその甥、疏受は皇帝や皇太子の教育係としての栄誉に浴していたが、やがて引退。皇帝らより多くの金を授かる。故郷に戻ったふたりは皇帝よりの金で毎日酒宴。周りのものは「陛下よりいただいた金はもっと別のことに使うべきでは？」と諫めるも、かれら「既に我が家には資産がある、だと言うのにこの金を持ったままでいたらみなだらけて働く気もなくなろう」と答えた。
571：277A 二疏散金（疏受）
疏広とその甥、疏受は皇帝や皇太子の教育係としての栄誉に浴していたが、やがて引退。皇帝らより多くの金を授かる。故郷に戻ったふたりは皇帝よりの金で毎日酒宴。周りのものは「陛下よりいただいた金はもっと別のことに使うべきでは？」と諫めるも、かれら「既に我が家には資産がある、だと言うのにこの金を持ったままでいたらみなだらけて働く気もなくなろう」と答えた。
280：135A 蘇武持節（蘇武）
前漢武帝の命を受けて匈奴に和親の使者として赴いた蘇武はそのまま匈奴に捕らわれ、匈奴の地に暮らすよう迫られた。しかし最後まで漢への忠誠を貫き通した。壮年のときに匈奴に赴き、漢の土を再びふむときには髪が全て白くなっていた。
68：32B 息躬歴詆（息夫躬）
前漢哀帝の時代の人、息夫躬。その実直さを買われ哀帝に抜擢された途端、当時宮廷で権勢を誇った人間をみんな言論でぶった切った。もちろんそんなんだから恨まれて投獄され、そこで憤死した。
180：87B 孫宝自劾（孫宝）
前漢成帝の時代、張忠人が学問の業績高い孫宝に、息子の教師となって欲しいと言い出す。周囲の人間もそれがさも良いことであるかのように言いだしたため、孫宝は自らに罰を着せ、辞任する形で辞退した。「高士たるものそんなことやるべきでない」とのことである。お、おう……？
291：140B 文君当壚（卓文君）
前漢武帝の時代、卓文君女性が司馬相如と駆け落ちした。この顛末に父親は怒り、彼女を勘当したのだが、これにより司馬相如との生活は貧困に陥る。そこで卓文君は居酒屋を開き自ら接客に当たったため、ついには父親も折れて家財道具を彼女のもとに送った。
99：48A 檀卿沐猴（檀長卿）
前漢宣帝の時代、蓋寛饒がいやいやながら参列した宴で、檀長卿が犬と猿が戦う真似をした踊りを披露し、みんなは大喝采。いっぽう蓋寛饒が下品なものを見させられたとぶち切れた。
413：200B 安世三篋（張安世）
前漢の張安世もやはり博覧強記のひとであった。武帝の時代に、三箱分の書物が遺失する事件が発生。その内容を把握できている者などいないだろうと思っていたところ、何と張安世が三箱分の書物をすべて暗記していたため、再現が叶った、と言うのだ。
197：95A 張湯巧詆（張湯）
ともに前漢武帝に仕えた酷吏。張湯はその文辞が異常に巧みであり、苛烈な裁きの数々は不公平そのものであったにせよ、結局は誰も論破できないまま多くの犠牲者を積み上げた。とは言え、やがて失着を起こし自殺した。
558：271A 張敞畫眉（張敞）
前漢宣帝の時代、長安の治安を厳正に守った張敞は当然敵も多く、その短所を誣告するものもいた。そのひとつがかれが妻の眉を手ずから描いている、ものである。これが宣帝の耳にも届いたため召喚を受け、問われる。すると「妻の眉を描くことの何が悪いのですか？」と張敞が返答したため、もっともだ、と宣帝も笑った。
545：264B 釋之結韤（張釋之）
漢の文帝に仕えた張釋之はその取り仕切りが公平なことで有名だった。あるとき黄老の術に長けたジジイが宮廷にやって来ると、居並ぶ官僚たちの中、張釋之の前で立ち止まり、いきなり「わしの草履の紐を結べ」と言い出した。張釋之も素直にそれに従う。なに張釋之を辱めとんねん！ と周りがいきり立つと、「は？ この中でこいつがいちばん才能があろう。なのでこいつを重んじさせるためにやっとんのよ」とジジイは言う。「賢人に仕える者は徳がある」わけだ。つまりジジイを賢人とすれば（いやもちろん賢人なんですが）、張釋之の徳が重んじられるわけだ。なっなんだってー！
18：9B 博望尋河（張騫）
前漢武帝の時代、張騫は博望侯に封じられた。武帝に命じられ西方に出立、多くの国との通商交渉をなし、その足跡はついに黄河の河源にまで至った、とされる。
97：47A 不疑誣金（直不疑）
前漢文帝の頃、ある役人が里帰りするときに、うっかり別の人間の金子を持ち帰ってしまった。持って行かれた人間は直不疑を疑う。直不疑は抗弁もせず金子を入手し、それで彼にあがなった。なお里帰りした役人が「うっかり持って帰っちゃったわー」と帰還したため、あがなわれた人は多いに恥じ入ったのだとか。
511：248B 鄭崇門雜（鄭崇）
前漢哀帝に仕えた鄭崇はバリバリに諫言をなすひとであった。しかし哀帝が寵愛する者たちの害まで諫言したため嫌悪される。哀帝よりお前はライバルを潰してのし上がりたいのかと問われたため「我が心の門は開け放たれておりまする」、つまりひたすら衷心よりの諫言であると主張したが聞き入れられず、獄死した。
44：21B 鄭荘置駅（鄭当）
前漢の人、鄭当は恵帝に仕えるに当たり、各地からやって来る訪問客を遅滞なく取り次げるよう、長安周辺に駅舎を建てて、その接待に偏りがないよう努め、それでもなお不公平がないか、よりよき情報の報告に後れがないかを恐れた。
20：10B 田横感歌（田横）
斉王田横は漢の皇帝劉邦に仕えることをよしとしなかった。再三再四の招聘に根負けし出仕を受け入れたが、その途上で自殺。斉の臣下らもあわせて自殺した。とは言え劉邦の元に死体を届けなければならない。そこで棺桶を引く任を得た者は、表向き悲しみを示すことが許されないため、思いを歌に語らせた。これが「挽歌」の語源だ。なお挽歌を詠ったものも、劉邦に謁見ののち自殺している。
335：161B 千秋小車（田千秋）
田千秋は特に取り柄があるわけでもなかったが、武帝が讒言によって皇太子を殺してしまったことの非をただ一人武帝に指摘した。これによって武帝ははっとなり、田千秋に感謝の意を示した。また田千秋を宰相に取り立て、足腰が弱っていることを理由に車椅子に乗っての参内が許された。
198：95B 杜周深刻（杜周）
杜周は、そんな張湯の弟子筋。武帝が陥れたいと思ったものは法を曲げてでも陥れ、掬い上げたいと思ったものは法を曲げてでも掬い上げた。桑弘羊と言った重臣、衛皇后の兄弟と言った貴人ですら構わずギッチギチに攻め挙げたため、武帝から仕事熱心だと褒められている。
595：289A 曼倩三冬（東方朔）
前漢武帝は文士たちを集め、席次によらず、その才によって側近に取り立てると宣言した。だいたいの人間はものごとの利害であるとか、ヤヤコシイ言葉などで自らを飾り立てては武帝に退けられていたが、東方朔は「ひとたび文章を読み始めれば三年でマスターしましたよね」と言った内容をはじめとした傲然と自らを讃える文章を提示。こいつは変人だと武帝に召し抱えられた。
283：136B 董永自賣（董永）
董永は父親が死んだとき、葬儀の費用が工面できないからと自らを奴隷として売り、その費用で葬儀をなした。奴隷暮らしの中ひとりの美女と出会ったので告白、結婚の約束をとりつける。とは言え結婚のためには自らの身を買い戻し、自由の身に戻らねばならない。すると妻が絹織物を多量に編み出した。なんと女性は天女だったのです！ こうして董永は自由の身とはなったが、天女にはフラれた。
269：129B 董生下帷（董仲舒）
前漢武帝期の学者董仲舒は春秋を精読するため、窓にすだれを垂らし、三年間外部との関わりを断った。その学識は当時に及ぶ者がいなかった。
12：6B 寧成乳虎（寧成）
前漢景帝時代のひと、寧成。ビシバシと人をしばくタイプの人であった。あまりの厳しさに「アレに会うくらいなら子を産んだばかりの虎に出くわした方がマシだ」とまで言われた。
429：208B 伯瑜泣杖（伯瑜）
伯瑜は悪いことをした。そして年老いた母に杖で打たれた。すると伯瑜は泣く。今までいくら杖で打たれても泣いたことがなかったのに。母がその涙の理由を問う。するとこう答えた。「あなたにぶたれてもまるで痛くなかった。これまでは痛かったのに。ああ、お母様は老いてしまわれたのだ、と思った」。
384：186A 衛后髪鬒（武帝衛皇后）
前漢武帝の衛皇后はその髪の艶やかなるをもって武帝に寵愛された。なおのちに皇太子の誣告事件に巻き込まれ自殺している。
297：143B 文翁興学（文翁）
前漢武帝の時代、蜀に赴いた文翁は蜀の学問の遅れを見て取り、蜀の民のうち才覚あるものを次々に長安に送り込んで学ばせ、戻ってきた者たちを取り立てて統治に当たらせた。こうして蜀の地の学問が盛んとなった。
519：251B 韋平相延（平氏）
同じく前漢では韋賢と韋玄成親子、そして平当と平晏親子のみが親子揃っての宰相になった。
318：153A 暴勝持斧（暴勝之）
前漢武帝の治世、地方反乱があった。暴勝之は斧をぶん回して思いっきり地方反乱を駆逐した。
137：66A 枚乘蒲輪（枚乘）
呉楚七国の乱直前の呉にて、枚乘は懸命に呉王の決起を止めようとするも叶わず梁に脱出。乱鎮圧に尽力した。その功績をたたえられ中央に召し出されるも栄達を嫌い梁に帰還。賦をものする日々を送る。やがてその高名を慕った武帝より招聘、蒲輪揺れの小さな車にて召喚されたのだが、都に向かう途中で死亡した。
77：37A 枚臯詣闕（枚臯）
枚臯の父、枚乗は前漢景帝期に活躍した文人だったが、公的な記録にはその息子で文才に長けている者がいなかった。しかしあるとき長安城城門にひょっこりと現れた枚臯が「ワイ枚乗の息子やで！」と言い出す。枚乗が旅行先でこさえた子だのだ。実際枚乗にもひけを取らないレベルの文人だったので武帝は彼を側近に採用した。
122：58B 揚雄草玄（揚雄）
一方の揚雄は前漢末の人。当時の貴顕にもおもねることなく、儒教華やかなりしころ道家の教えを貫き、太玄経を起草した。
576：279B 子雲投閣（揚雄）
揚雄、あざなが子雲。前漢の大学者である。王莽と同僚的な立場であったが、漢より簒奪する姿勢に断固として反対。そのため収監されそうになった。そがれられないと悟った揚雄は窓から身を投げて自殺を図る。重傷こそ負うも失敗。
5：3A 楊震関西（楊震）
後漢中期の名士、楊震。彼の徳高さは、「函谷関の西に住まう孔子だ」とまで呼ばれ、崇敬の的となっていた。
153：74A 楊僕移関（楊僕）
前漢の楊僕は将軍として大きな功績を挙げていた。このとき函谷関がいまよりも西にあったため楊僕は関外の人間扱いとなっていた。これを嫌った楊僕、武帝陛下にお願いして函谷関を東に移し、無事関中の人間となることができましたとさ。なお最終的に破滅している。
327：157B 翼奉觀性（翼奉）
同じ時代に生きた翼奉は同じく占術に長けていたが、こちらは誰かと衝突することなく、あくまで元帝のためのアドバイザーとして身を全うしている。
371：179B 落下曆数（落下閎）
落下閎は前漢の時代、唐都とともに暦を算出した。これが武帝の時代の暦として採用された。
174：84B 李広成蹊（李広）
武帝に仕えた将軍李広は篤実な人柄であった。口数は多くないが、スモモの木の下に自然と道ができるように、彼を慕う者はたくさんいた。
508：247A 広利泉湧（李広利）
前漢武帝の時代の将軍李広利は国の悪党どもを徴発して遠征に出た。途中で水が切れ、みなが喉の渇きに苦しみ始めたところ李広利が祈ったうえ山に剣を刺したら、そこから泉が湧き出してきた。
19：10A 李陵初詩（李陵）
前漢の武将、李陵。匈奴に囚われて捕虜、と言うか客将として仕えることになった。そこに蘇武漢将が新たに捕まるものの、かれは断固として漢に帰還することを主張。認められる。蘇武を見送る際に李陵が送った詩、それが五言詩の始まりであった。
572：277B 陸賈分橐（陸賈）
陸賈は劉邦の命により南海のひと趙佗を漢に取り込もうと出向いた。そこで趙佗に大いに気に入られ、値千金の宝玉が入った袋を授けられた。やがて呂雉が専横を極めた時代に郊外に引退。五人の子に二百金分ずつ財宝を分け与えた。更にその後、漢室から呂氏勢力の排除に尽力もしている。
458：223A 淮南食時（劉安）
前漢の淮南王劉安は武帝とともに文学を楽しみ、食事や宴会の時に武帝とともに文学談義をなした。ただしのちに謀反し処刑された。
377：182B 臨江折軸（劉栄）
前漢は景帝の息子、劉栄。はじめ太子とされましたが間もなく廃され、臨江王にされます。やがて無礼があったとして罪に問われ、自殺します。それに先立って景帝の召喚を受け、面会した帰り、車の車軸がぼきりと折れたそうです。
506：246A 楚元置醴（劉交）
劉邦の弟である、劉交。彼は酒をたしなまない臣下のために、宴会が開かれるときには常に別に甘酒を用意させていた。
495：240B 梁孝牛禍（梁孝王）
前漢は呉楚七国の乱平定に関与した梁の孝王、劉武。かれはもと景帝の後継者であったが、やがてその地位を弟の武帝に奪われた。梁の地に帰って鬱々としていたところ、足が肩より上に出ている牛、つまり上下の順があべこべになっている生き物の献上を受けた。劉武はこれに怒り、憤死した。
287：138B 温舒截蒲（路温舒）
路温舒はガマの葉をつなぎ合わせて学び、やがてその学習態度が認められ立身、赴任先もよく治めた。
89：43A 于公高門（于定国）
前漢に仕えた于公が能吏であったため、その治績を讃える祠が建てられる。が、間もなく祠の門が崩れてしまった。それを知った于公は門を高大に作り替えるように指示した。子孫に宰相クラスのものが出るだろうから、と言うのだ。実際に息子の于定国は、宣帝の時代に宰相に至った。
602：292B 嚴母埽墓（嚴延年母）
前漢宣帝の時代に河南を統治した厳延年の統治もまた酷薄なものであり、多くの犠牲者を出した。やがて漢室に対する誹謗の発言などもあり処刑されるのだが、それより以前に母親より「お前のような非道な者とはともにおれぬ、私は実家に帰り先祖の墓を清めておく」と、ほぼ縁切りのような宣告を受けている。
300：145A 蕭珠結綬（蕭育）
前漢宣帝の時代の王吉と貢禹、哀帝の時代の蕭育と朱博はともに幼い頃から友人同士であった。彼らはそれぞれが同じほうを向き、お互いに推挙し合い立身を遂げた。
38：18B 蕭芝雉隨（蕭芝）
蕭芝は孝行者であり、彼が出仕すると「めでたいこと」の象徴であるキジが付き従うように飛んできた。
410：199A 広��從橋（薛広徳）
前漢元帝の時代、元帝が本来川の向こうの宗廟に橋を渡ってゆかねばならないところを船で行こうとした。それを薛広徳が諫め、「お聞き入れ頂かねばこの首はねてこの血で穢し、祭祀どころではさせなくいたしましょう」と言い切って従わせた。
87：42A 袁盎却座（袁盎）
漢の文帝に仕えた袁盎は、文帝が側妾の慎夫人と同じ位置の席について宴に興じているのを見て、慎夫人の席を一段低いところに引き下ろす。文帝と夫人が怒ると、「皇后陛下であればともかく、慎氏は側妾のお一人でございます。その線引きはしっかりとなさいませ」と諫めた。ちなみに諫めすぎて煙たがられた。
41：20A 賈誼忌鵩（賈誼）
前漢の学者である賈誼は早熟の天才で帝よりの覚えもめでたかったのだが、あるとき不幸を呼ぶ鳥、鵩を目撃してしまった。その後三十三才の若さで夭折した。
398：193A 広漢鉤距（趙広漢）
前漢宣帝の時代の趙広漢は首都の統治者として漢代一とすら言われるほどの人で、不正や犯罪を強力に取り締まった。特に鉤距、すなわち潜入調査が非常に得意であった。っが、宣帝のお気に入りまで処罰してしまったため、ついには腰斬刑を受けた。
78：37B 充国自贊（趙充国）
趙充国は前漢宣帝の時代に活躍した老将。西方を羌族が侵してきたとき、誰が適任かと問われたときに「まぁ、わし以上にやれるものなどおりますまいな」と豪語、本当に大勝して帰ってきた。
499：242B 趙禹廉倨（趙禹）
趙禹は漢の武帝に仕え、官吏どうしの相互監視体制を確立させた。清廉潔白な仕事ぶりではあったが傲慢な人となりであり、親しい者はほぼおらず、ただ己の職務を全うし、死んだ。
51：24A 鄒陽長裾（鄒陽）
前漢創立期に活躍した文人、鄒陽。彼が仕えた呉王が反乱を企んだ。そこで鄒陽は「あんたがそうやって良からぬことを企むんなら、あんたのために長い裾を引きずって仕えるわけにはまいりませんな」と言って諫める。聞き入れらなかったため鄒陽は呉王のもとを去った。
401：194B 去病辞第（霍去病）
漢の武帝の時代、衛青は匈奴征伐の陣幕内で大将軍の地位を拝命した。ちなみにこれが「幕府」の語源になっている。霍去病は武帝より邸宅を下賜されたとき「匈奴も滅ぼし切れていないのに邸宅になぞ住まってはおれません」と下賜を辞退した。
276：133A 韋賢滿籯（韋賢）
前漢の韋賢は儒学をよく修め、宣帝の時代に丞相となったが、老齢を理由に引退した。そして韋賢よりよく学んだ末子の韋玄成もまた元帝の時代に丞相となった。このことから「子にはかごいっぱいの金子よりも経学を教えた方がよい」と魯のことわざに言われるようになった。
517：251B 韋平相延（韋氏）
同じく前漢では韋賢と韋玄成親子、そして平当と平晏親子のみが親子揃っての宰相になった。
324：156A 魏勃埽門（魏勃）
魏勃は寒微の出であったがなんとか高官に取り入りたいと思い、前漢建立の大功臣である曹参の屋敷の門の前を清掃し続けた。そしてついに曹参と面会する機会を得、しかも取り立てられた。
244：117A ��通銅山（��通）
無能ものだが前漢の文帝よりの寵愛ゆえに厚遇されていた、��通。占いによると「最終的には貧困の中で死ぬ」と言われたため文帝は��通に銅山を与えた。のだが、文帝死後横領の罪を疑われて財産を没収され、他人の家で死んだ。
151：73A 蔣詡三徑（蔣詡）
蔣詡は王莽の権勢甚だしい頃高官の地位より退き、田舎で庭に三本の小道を引いて、それぞれの先に松、菊、竹を植え、それを愛でる生活で満ち足りた。一説では家から門、井戸、トイレへと通じる道だったともされる。
372：180A 曼容自免（邴丹）
前漢の邴丹、あざな曼容。哀帝の時代の清廉な儒者で、地方高官に取り立てられそうになったところを辞退、隠棲しました。その清廉さが後世に讃えられています。
11：6A 郅都蒼鷹（郅都）
前漢景帝時代の人、郅都。彼は相手がどんなにえらい人間だろうが怖じけづくこともなくストレートに諫言を決め、人々に恐れられていた。
402：195A 酈寄賣友（酈寄）
劉邦亡きあと権勢を握った、呂雉。彼女が死んだ後、漢室を傾けかけた呂雉の一族は誅殺される。このとき呂氏一門の呂禄と友人であった酈寄は、呂禄を欺いて漢に売り、呂氏誅滅の功績を得た。このため「酈寄は友人を売ったのだ」と言われた。
498：242A 鼂錯峭直（鼂錯）
漢の景帝に仕える鼂錯は実直有能であったが、融通が利かず、また酷薄な判断をしばしば下した。この性分が景帝の時代の宗族反乱・呉楚七国の乱を招いたとされ、腰斬された。
179：87A 龔勝不屈（龔勝）
前漢末期、王莽が実権を握る。龔勝は何度も中央に出てくるよう呼びかけられたのだが応じない。ついには皇帝直々の命として召喚を受けたのだが病を称し、拒否。そこから飲食を断ち、二週間後に死亡した。
296：143A 龔遂勸農（龔遂）
前漢宣帝の時代、渤海で飢饉による群盗が発生。龔遂は群盗討伐軍を解散させ、民のうち武具を持っている者に対しては武具を買い取った上で牛を与えた。決め台詞は「なんでお前らは腰に牛をぶら下げておるのだ」であった。こうして武力なしで群盗を鎮めた。
新漢交代期（33件）
256：123A 逢萌挂冠（逢萌）
逢萌は前漢末に冠たる学者だったが、王莽に息子を殺されたため冠を都の門に掛け官を辞し、地方に隠遁し、その後二度と出仕はしなかった。
202：96A 三王尹京（王章）
前漢成帝のもとには特に有能であった三人の王氏がいた。王駿、王尊、王章である。しかし彼らのうち王尊は御史大夫止まり、王駿王章は京兆尹止まりだった。特に王章は王莽の親族である王鳳によって誣告され、殺害されている。
200：96A 三王尹京（王尊）
前漢成帝のもとには特に有能であった三人の王氏がいた。王駿、王尊、王章である。しかし彼らのうち王尊は御史大夫止まり、王駿王章は京兆尹止まりだった。特に王章は王莽の親族である王鳳によって誣告され、殺害されている。
509：247B 王覇冰合（王覇）
光武帝に仕えた名将、雲台二十八将の第二十三位である王覇。ある冬、光武帝が南征を計画する。先んじて王覇が南方の様子を見たとき、黄河が凍ろうとする様子はなかった。それでも王覇は光武帝の元に戻って「黄河は凍っています、一気に攻められます」と語る。実際光武帝の軍が進むと黄河は凍っていたし、ほぼ渡ったところで氷結が解けた。そのため「渡河を一気に終えられたのは王覇のおかげだ」と光武帝に讃えられている。
52：24B 王符逢掖（王符）
後漢の名士皇甫規は財貨で郡太守の座を得たものとの面会は拒絶したが、世俗と交わらず学名を高めていた王符とは喜んで会った。「地方長官どのは逢掖を着た儒者殿に劣るらしい」と世に言われるようになった。
245：117B 郭況金穴（郭況）
後漢光武帝の妃、郭聖通。その兄である郭況には多くの財産が下賜され、そのため豪勢な暮らしをするようになった。その豪華な暮らしぶりは「金穴」と呼ばれたそうである。
104：50B 李郭仙舟（郭太）
同じく桓帝の時代、当時の名士である李膺は多くの人に慕われていたが、里帰りするときに船に乗せたのはただひとり、同じく名士の郭泰のみだった。このとき岸辺から見送った者たちは、まるで仙人の乗る船のようだ、と語った。
546：265A 郭丹約関（郭丹）
前漢末、幼いころに母を亡くした郭丹は糊口をしのいで、のちに南陽郡からの使者として函谷関をくぐり関中入りした。このとき函谷関に対して「天子のお目に留まり、立身するまでは再びこの函谷関をくぐるまいぞ」と近い、光武帝の時代にその志を果たすのだった。
514：250A 郭伋竹馬（郭伋）
王莽の時代、郭伋が任地に赴任したとき各地にて深い恩徳を授けた。光武帝の時代にも再び并州に赴任。彼の赴任を聞いた数百ほどの小さな子が竹馬に乗り、郭伋を歓迎した。
348：168A 虞延剋期（虞延）
王莽の時代に世が乱れたとき、虞延は常に甲冑を身をまとい、人々を守るため戦った。また地方長官としても徳ある統治を心掛け、ある祭日、獄につながれている囚人に「この日までに返ってくるように」と伝えて解放したところ、囚人はみな期日通りに帰還してきた。
247：118B 侯覇臥轍（侯覇）
王莽によって地方長官に任じられた侯霸は、王莽が敗れれば当然罷免される立場であった。しかしその統治に恩義を感じた者たちが、侯霸が去ろうとする車の前に引かれている轍に寝そべり、その行く手を遮った。
373：180B 子平畢娶（向長）
後漢の向長、あざな子平。光武帝頃の隠者で、あまりに貧乏だからと人より施しを受ければ、その不足分だけ受け取り、残りは返却したのだとか。そして子育てが終わった途端に山にふらりと山の中に消えていったのだそう。
367：177B 孔光温樹（孔光）
前漢末に宰相となった孔光は非常に口の硬い人だった。家族にすらまともに仕事についての話もせず、宮殿の一つ温室殿にどんな木が生えているのかを聞かれても答えずに他の話でごまかすほどだった。
313：150B 祭遵布被（祭遵）
一方の祭遵は後漢光武帝の配下、いわゆる雲台二十八将。挙げる功績は抜群だったが、報賞はすべて配下に与え、自らは質素な暮らしを貫いた。
423：205B 申屠斷鞅（申屠剛）
王莽の時代、王莽に申屠剛は直言の臣下を置くべきと唱えたため退けられた。やがて光武帝に仕えると、まだ天下も治まっていないのに光武帝が猟に出たいなどと言い出す。なので光武帝が使っていた車のタイヤの前に頭を差し込む形で止めさせた。いきたいなら俺の頭を車輪でかち割ってからにしろ、わけだ。
243：116B 宋弘不諧（宋弘）
宋弘は光武帝の時代の人。光武帝の姉が未亡人になったので、宋弘の所に後妻に出すのはどうか、と言う話になった。ただそれは宋弘の今の妻と離縁することを意味する。そこで宋弘、栄達よりも今の妻との絆を取った。
557：270B 五倫十起（第五倫）
後漢光武帝のもとで刺史に抜擢された、第五倫。彼は甥が病に伏せったとき、一晩に十度も看病のために足を運ぶほどの献身ぶりを示した。
208：99A 谷永筆札（谷永）
前漢成帝の時代に仕えた諫言のひと。その天文分析、災害分析は他者の追随を許さなかった。ただし時の権勢者である王莽にすり寄った。
175：85A 陳遵投轄（陳遵）
陳遵は王莽の時代の名士だったが酒癖がすごかった。酔っ払うとやって来ていた客の車の車軸（轄）を井戸の中にぶん投げ、門も封鎖し、急用があったとしても帰れなくしてしまった。
185：89A 董宣彊項（董宣）
董宣は後漢光武帝の臣下のひとり。光武帝の姉の召使いが殺人を犯したところ、姉は召使いを匿い、追及を逃れようとした。董宣、構わず摘発の上、殺した。すぐさま光武帝のもとに引っ立てられるたのだが、むしろ柱でをかち割り、盛大に流血しながら「死ぬなら死ぬで構いませんが、善良な人を殺害した罪をきっちり裁かないってんなら、陛下、誰があんたの言葉を正しいと思うんです？」と直言。これには参ったと光武帝も苦笑し、董宣の振る舞いを認めるしかなくなった。
555：269B 馬援薏苡（馬援）
後漢光武帝を補佐したことで知られる馬援は北ベトナム方面に赴任し、そこで多くの珍宝を見出したものの、持ち帰ったのは土地特産の木の実のみであった。
17：9A 伏波標柱（馬瑗）
後漢初期の伏波将軍、馬瑗は老いてなお南方の蛮夷を伐たんと出征。本人は暑さにたたられて死亡してしまうのだが、南方に柱を立て、後漢の南方への支配拡大の証を示した。
240：115A 馬后大練（明帝馬皇后）
後漢明帝の皇后、馬氏。馬援の娘である。彼女はもともと皇后ではなかったのだが、別の妃が産んだ子、のちの章帝を見事に育て上げて皇太子にふさわしい存在とし、その功績から皇后に選ばれた。
340：164A 劉玄刮席（劉玄）
王莽のあとに立てられた傀儡皇帝、更始帝劉玄。彼は玉座について百官に面したとき、羞恥のあまり顔を上げられず、じっと玉座をなでさするだけであった。
565：274B 嚴陵去釣（嚴光）
厳光は光武帝の幼なじみ。マブダチ、とすら言っていい。しかし光武帝が天下の主となると彼の元を辞去し、日々釣りを楽しむ生活を送った。
561：272B 姜詩躍鯉（姜詩）
前漢末、姜詩は妻とともに長江の水を好む母のため数里の道程を掛けて汲みに行き、その期待に応えた。神がその孝行を感じ取ったか、ついに家の側にある井戸から長江の水のような味がする水が湧き出し、また毎日二尾の鯉が取れるようになった。
478：233A 寇恂借一（寇恂）
光武帝が誇る雲台二十八将のひとり、寇恂。彼は地方鎮撫に優れた手腕を誇った。ある地方の乱を光武帝が寇恂とともに平定、帰還しようとしたとき、民らは「寇恂様を一年、この地方の長官としてお留めください」と嘆願した。
457：222B 蔡順分椹（蔡順）
前漢末期に生きた蔡順は母思いであり、母親が死んだ非に見舞われた火事の中、それでも母の身を守ろうと棺に覆い被さり続けていた。
334：161A 馮異大樹（馮異）
馮異は光武帝に仕えた雲台二十八将の第七席、つまりトップ名将の一人。にもかかわらず謙譲を旨とし、皆が論功行賞について語っているところ、一人木の下でたたずんでいた。配下の兵たちはみな馮異の下でこそ働きたいと願い出た。
189：91A 馮衍歸里（馮衍）
漢の更始帝に仕えた馮衍は光武帝に最後まで抵抗するも、更始帝死後光武帝に仕えた。とは言え光武帝からはまるで重んじられず、故郷に帰還した。
201：96B 二鮑糾慝（鮑永）
後漢の光武帝に仕えた鮑永は、別系鮑氏の鮑恢を重んじた。彼らはともに剛直であり、光武帝でさえ「あの二人の前で迂闊なことはするなよ」と臣下にいましめたそうである。ちなみに鮑永の父鮑宣は王莽によって殺されている。
203：96B 二鮑糾慝（鮑恢）
後漢の光武帝に仕えた鮑永は、別系鮑氏の鮑恢を重んじた。彼らはともに剛直であり、光武帝でさえ「あの二人の前で迂闊なことはするなよ」と臣下にいましめたそうである。ちなみに鮑永の父鮑宣は王莽によって殺されている。
411：199B 君章拒獵（郅�─�
後漢の郅�┐浪�莽にも屈服しなかった剛のひと。ある日光武帝が猟を楽しんだところ門限を回っても帰れなかった。そこで郅�─¬腓鯤弔犬童�武帝の帰還を拒否した。陛下が門限守らんとかアホですか！ と上奏し、讃えられたそうである。
後漢（108件）
207：98B 井春五経（井丹）
光武帝の治世後半ごろに活躍した隠遁文人、井丹。あざな大春。かれは煩雑にして多岐にわたる五経の内容を完璧に把握していたため、「五經紛綸たり、井大春」と呼ばれていた。
435：211B 陰方祀竈（陰識）
陰子方は管仲の子孫であった。よくかまどの神を祀っていたところ、かまどの神がその厚い祭祀に感じ入り、彼を立身させた。やがて三代後の子孫が、光武帝の皇后となる隠麗華だ。
412：200A 応奉五行（応奉）
後漢で司隷校尉にまで至った応奉は博覧強記のひとであった。何か書物を読むときには五行同時に読み下し、しかもそれで遺漏がなかった。
522：253A 王允千里（王允）
王允は後漢末、朝廷を席巻した董卓を暗殺した首謀者。結局は政争に巻き込まれ横死するのだが、若い頃には「王を乗せる千里の馬がごとく王を補佐するであろう」と評されていた。
258：124A 王喬双鳧（王喬）
後漢明帝の時代の方術士、王喬。彼が明帝に謁見するとき、なんと二羽のカモに乗ってやってきたのだ。ワァーオ！
219：104B 王修輟社（王修）
漢末の名地方官、王修。彼は母を七歳の時に失ったのだが、その日は折しも村の祭りの日だった。しかし王修の慟哭の声があまりにも凄まじく、そのためについに祭すら中止させてしまった。
268：129A 王充閱市（王充）
後漢末の王充は貧乏であったため、市場で本を立ち読みしてその内容を暗記、その学識をもとに立身した。
199：96A 三王尹京（王駿）
前漢成帝のもとには特に有能であった三人の王氏がいた。王駿、王尊、王章である。しかし彼らのうち王尊は御史大夫止まり、王駿王章は京兆尹止まりだった。特に王章は王莽の親族である王鳳によって誣告され、殺害されている。
105：51A 王忳繡被（王忳）
王忳は旅路で病人を看病したが、その病人は看護の甲斐なく死亡。死亡するときに十斤もの金子を礼に、と王忳に託す。王忳は一斤のみ葬儀費用に充て、残り九斤は病人の墓にともに埋めておいた。ある日王忳の元に迷い馬が駆け込んで来、また繡被＝刺繍の入った布団が風に乗って飛んでくる。後に馬が元の持ち主のもとに戻ると、飛ばされた布団もその人のものであり、更に聞けば王忳が旅先で埋葬した病人も、彼の息子であった。これらのことから王忳の名は大いに広まり、立身の途に就いた。
523：253B 黄憲萬頃（黄憲）
後漢安帝頃の人士として圧倒的な評価を得ていたのが黄憲。彼は「千頃の池など比べものにならないくらいに奥深い人物だ」と表されている。
432：210A 黄向訪主（黄向）
後漢人の黄向は道ばたで金の入った袋を拾ったが、ネコババせず持ち主に返した。
455：221B 黄香扇枕（黄香）
黄香は母親を亡くして以降、父親にも更に献身的に尽くした。冬の寒い日には自らの身で布団を温めたし、夏の暑い日には枕元に立って一生懸命に枕を扇いだ。
119：57A 黄琬対日（黄琬）
後漢の名士黄琬は、七歳の時に皆既日食を目の当たりとし、徐々に日蝕が収まるさまを見て「あれ、太陽の欠け方、月にそっくりだね？」と喝破し、周囲のものを驚かせた。
265：127B 郭賀露冕（郭賀）
後漢明帝の時代に荊州刺史となった郭賀は、その統治があまりにも優れていたため、明帝より三公クラスの服を下賜された。州を視察する際、車の帷幕を引き上げさせ、任地の民の様子がよく見えるようにさせた。
321：154B 林宗折巾（郭泰）
後漢桓帝期の名士郭泰、あざな林宗は、被る頭巾をちょいと曲げていた。
451：219B 桓景登高（桓景）
桓景は縮地の方術を操る費長房の弟子。あるとき費長房に「九月九日にお前んちでやべーことがあるんで、この日には高台に登って酒でも飲んでろ」と言われた。家族総出でその通りに行動し、下山すると、果たして家畜がみな死んでいた。
496：241A 桓典避馬（桓典）
後漢末の宦官たちが幅を利かせる宮廷にあり、桓典は真っ向から宦官に逆らった。そのため七年ほど要職から干されていた。だので人々は極力桓典の乗る馬を避けようとした。
23：12A 桓譚非讖（桓譚）
後漢の桓譚は音曲をたしなむひとで、光武帝のそばに侍ることが許されていた。予言書好きの光武帝があるとき政策を予言書に基づいて決定しようとし、桓譚に相談を持ちかける。すると桓譚は首を振り、言う。「予言書は予言書、経典の言葉を優先すべきである」と直言した。光武帝は激おこしたがなんとか殺されずには済んだ。
69：33A 管寧割席（管寧）
後漢末のひと、管寧は友人の華歆とともに世間から縁遠い生活をしていたが、あるとき華歆が当時の貴人を見物しに行った。それに失望した管寧、ベンチをふたつに割り「おまえと並んで座ろうとは思わん」とつっぱねた。
305：146B 仇覧栖鷹（仇覧）
後漢桓帝頃の能吏、仇覧。罪を犯した者に倫理を説き改心させる。やがて厳格な統治を好む地方長官の下で「もっと厳しくすべきではなかったのか」と問い詰められたが「どんなに罪人がハヤブサを恐れたところで、鳳凰の前に立てば鳳凰になつくでしょう」と、ハヤブサたちの前で徳治を言い切った。
549：266B 許慎無双（許慎）
現存する最古の字典と言ってもいい『説文解字』を編纂した後漢の学者、許慎。彼もやはり学問の虫であり、その学識の深さは、当時の人から「当今無双である」とまで言われていた。
80：38B 許劭月旦（許劭）
後漢末の許劭は月旦、すなわち人物評価で名を知られていた。その月旦が曹操を見たときはじめ評価にも値しないとシカトを決め込んだが、直後に脅され、例の「治世の能臣、乱世の姦雄」評を語った。
31：15A 胡広補闕（胡広）
後漢安帝の時代のひと、胡広。三公にまで上りつめた彼は皇帝の落ち度を諫めるなどはなかったが、それとなくその漏れを補う形で補佐をした。
510：248A 孔融坐滿（孔融）
後漢末の名士孔融は多くの人士を愛した。閑職に追いやられていても、彼の開催する宴には多くの才覚あふれる若者たちが集っていた。しかし面と向かっては短所を、当人のいないところでは長所を言うようなスタンスであったため、ついには曹操に嫌われ、殺された。
63：30A 江革巨孝（江革）
後漢初期、戦乱に巻き込まれた江革は老いた母のために身を粉にして働いた。その孝行ぶりはやがて章帝の耳にまで届き、ついには三公司空の副官にまで昇進した。
471：229B 高鳳漂麥（高鳳）
後漢の人、高鳳。農家出身のひとではあったが、やはり学問をこよなく愛した。あるとき妻が麦を天日干しにし、高鳳には鶏が逃げ出さないように見張るよう命じた。高鳳は鶏を見ながら書を読む。折しも大雨が降り出すも、高鳳は止まらない。ついには畑の麦が流されたことにすら気付かないほどだった。
71：34A 時苗留犢（時苗）
後漢末の地方官、時苗。清廉潔白なひとで、その統治によって任地は大いに潤った。赴任の際一頭の牛に車を引かせてやってきたのだが、その牛が任地で子を産む。任期を終えて時苗が去ろうとしたとき、その子牛を任地に置いていく。あくまで任地で生まれた牛だから、とのことである。
239：114B 沢室犯齋（周沢妻）
後漢の明帝の時代に宰相となった周沢はとにかく物忌みが大好き。一年３６５日のうち３５９日は斎戒しないと気がすまない口であった。ところで斎戒の場である宗廟は女人禁制。だと言うのに周沢さんが宗廟内で倒れる。禁を破って夫を助け
421：204B 徐穉致芻（徐穉）
徐穉は後漢の人。聡明ではあったが、隠遁指向。ただお世話になった人が亡くなったときには、名を明かすこともなく、大いに哀悼の意を示し、去った。
419：203B 鍾離委珠（鍾離意）
鍾離意は後漢の人。とある贈賄事件で没収された財物を皇帝が臣下に分配したところ、鍾離意は形の良くない宝珠のみ受け取り、しかもすぐさま投げ捨てた。曰く「汚い金は受け取れない」とのことだ。
246：118A 秦彭攀轅（秦彭）
後漢で代々高官の地位にあった秦氏の末裔、秦彭。彼が赴任した郡の任期を終えて去ろうとすると、郡の人々がその轅（ながえ＝車と馬とを繋ぐ棒）によじ登り、泣きわめいた。
563：273B 成瑨坐嘯（成瑨）
後漢桓帝の時代に郡太守であった宗資と成瑨。宗資はやりての部下のイエスマンとなり、成瑨はやりての部下にすべてを投げて執務室で歌を歌うだけだった。このことはまちで風刺された。
349：168B 盛吉垂泣（盛吉）
盛吉もまた仁徳ある統治をなしていた。とは言え罪人は裁かねばならない。処刑執行の決裁をなすたび涙し、悲嘆に暮れた。
407：197B 蘇章負笈（蘇章）
後漢順帝の時代に郡太守として清廉な政治を貫いた蘇章は、若い頃勉強のためであれば本の入った篭を背負い、どこまでも赴いたのだ。
128：61B 宋均去獸（宋均）
光武帝の時代、南方の地方長官となった宋均。彼の統治もやはり神がかっており、当時虎の害に悩まされていたその地から、官吏の教化によって虎を追い出した。へ、へー……？
10：5B 孫敬閉戸（孫敬）
後漢の時代、楚の地に住まう孫敬は引きこもって書の虫と化していた。天井からロープを垂らし、寝落ちしそうになると首が絞まるギミックを施して。そんな孫敬が町中に出てくると人々から「閉戸先生が来たぞ！」と言われていた。
158：76B 孫寿折腰（孫寿）
折腰とはくねりと曲げられた腰、である。末期の後漢を専断した梁冀の妻、孫寿。一言で言えばどちゃくそエロかった。このため梁冀を誤らせ、後漢を傾けさせるに至った、と言うわけだ。
337：162B 孫鍾設瓜（孫鍾）
孫鐘は呉の孫堅の父である。貧乏暮らしをしていた中で瓜を何とか収穫できたのだが、折悪しく、そこに三人の客。しかも瓜が食べたい、と言う。孫鐘、自らの思いは殺し、彼らに食事、そして瓜を与えた。そうしたら、その三人は実は運命を司る神であった！ 後日の息子以下については、あえて語るまでもないだろう。
528：256A 戴封積薪（戴封）
後漢の役人、戴封の任地が日照りに襲われた。戴封がいくら雨乞いの祈祷をしても、なかなか雨が降ろうとしない。そこでついに戴封、自らを生贄として薪の上に自らの身を置いた。するとついに雨が降り出した。
50：23B 戴憑重席（戴憑）
後漢の創始者、光武帝が正月の席で臣下らに経典に関する難問を提示し、答えられなかったら席を奪う、といった催しを開いた。その中にあって戴憑は五十問もの難問に答えきり、その才覚を燦然と示した。
428：208A 丁蘭刻木（丁蘭）
丁蘭は孝行者だった。母が亡くなると木に母の姿を彫り、それ母のごとく扱い、孝行をなす。あるとき妻が間違えてその像を焼いてしまったところ、彼女の髪の毛がごっそり抜け落ちてしまったのだ。
6：3B 丁�邂彭譟蔽��遏�
前漢初期の学者、丁�遏Ｈ爐六佞砲弔い動廚魍悗咫�抜群の学識を得ると東方に帰還した。
512：249A 張堪折轅（張堪）
後漢の時代に匈奴勢力圏に接する漁陽に赴任した張堪は信賞必罰を旨として官吏や民の仕事を奨励し、匈奴が襲いかかってきてもその指揮力で撃退した。こうして漁陽を大いに栄えさせたのだが、帰還時にはまともに荷物も抱えず、長柄の折れた粗末な車に乗っていた。
319：153B 張綱埋輪（張綱）
後漢順帝の時代、張綱は中央で奸臣が跋扈する中地方風俗の視察に出向かされることになった。そこで巡察に当たって乗る車の車輪を洛陽に埋め「中央の虎狼をどうにかしないまま地方の狸狐を見てどうするのだ」と、奸臣たちの弾劾状を提出した。もちろん奸臣たちからは煙たがられて左遷させられた。
333：160B 伯英草聖（張芝）
後漢末期の書家、張芝、あざな伯英。彼の筆跡を見てしまえば、過去の偉大な書家たちの書体もかすんで見えるとまで称された。その書への情念はただ事でなく、ついには草書の聖人とまで呼ばれるようになった。
217：103B 張湛白馬（張湛）
後漢の張湛。剛直のひとであり、光武帝に対してもガンガン諫言をなした。白馬に乗ってやって来ることから、光武帝は「白馬生が、また諫めに来たか」と彼の参上を笑った。
112：53B 范張雞黍（張劭）
同じく後漢の范式と張劭は、そのすまいが遠く離れているとは言ってもその心を繋ぎ合う仲だった。春に別れ、秋の再会を誓うと、その期日近くなったタイミングで張劭が鶏を潰し、キビをふかし、その到来を確信して待った。
167：81A 公超霧市（張楷）
張楷はめっちゃすごい学者で、その学識を慕って門弟があふれたのだが、どうにかそれから逃れようとした。なお五里を霧の中に沈める謎の方術を習得していた。
463：225B 長房縮地（長房）
後漢書の「費長房」の習得したスキル、縮地とは地脈の伸縮を自在に操って移動する能力。つまりワープ。
109：53A 陳雷膠漆（陳重）
後漢の士人フレンズ、陳重と雷義。どちらかが栄達すればもう片方に譲るし、どちらかが罪を得ればもう片方も責任を負って自任する。地元の人たちは「塗り固めたニカワはめっちゃ硬いけど、あの二人の絆には勝てないよね」と語り合った。
507：246B 陳蕃下榻（陳蕃）
後漢末、党錮の禁に関与した烈士、陳蕃。彼はいわゆる高名の士とは付き合おうとせず、名はなくとも志操高きもののためにのみ腰掛けのベンチを差し出し、もてなした。
103：50A 荀陳��星（陳寔）
後漢桓帝の時代、潁川で陳寔親子、荀淑親子が一堂に会した。親子揃って当時一流の名士であり、このとき都では「潁川に徳の星が集結しました」との報告が上がった。
433：210B 陳寔遺盗（陳寔）
後漢後期の名士、陳寔が統治した町は徳によって治まった。そんな陳寔の家に盗賊が押し入ってくるのだが、陳寔は「やむにやまれぬ事情があるのだろう」と盗賊を諭し、改心させてしまった。
138：66B 鄭均白衣（鄭均）
後漢の章帝の時代、鄭均の兄がワイロに汚い役人生活を送っていた。それを諫めるため鄭均は自ら使用人に身をやつして金を稼ぎ、一年後に兄の元へ持っていく。そして金は稼げば確保できるがワイロによって名を損ねると二度とは戻らない、とさとし、これに感心した兄はついにワイロの受け取りをやめる。以後鄭均と兄は清廉な勤務を貫き通し、章帝より引退後も現役時と同じだけの俸給を与えると特例措置を受けた。
281：135B 鄭衆不拜（鄭衆）
後漢明帝の時代、使者として匈奴のもとに赴いた鄭衆。単于より拝礼するよう迫られるも拒否。単于が怒るも、それに対して一切引くことはなかった。のちに匈奴から漢に使者がもたらされたとき、匈奴の使者は「あの人の胆力は蘇武にも引けを取りませんよ」と語った。
156：75B 杜林駮堯（杜林）
後漢が立ち上がったころ、偉大なる先祖を祀ることについて議論があった。周の系譜は后稷に始まる、ならば漢帝は堯の子孫なので堯を祀るべきでは？ と言うものだ。そこに進み出る杜林さんは言う。いや別に堯って漢の立ち上げに絡んでないっしょ？ と。それを聞いて、みんな「それも……」と思い直したのだとか。
566：275A 董遇三餘（董遇）
後漢末の学者、董遇。弟子のひとりが「書物を読む暇がない」と洩らすと「冬が年の余り、夜が日中の余り、雨が晴れ間の余り。この三つの余りに読むのが良い」と語った。
476：232A 董奉活燮（董奉）
董奉は神医。後漢末に交州刺史であった杜燮が任地で人事不省に陥り、そのまま死亡したのだが、董奉が謎の丸薬を飲ませると復活したのだそうである。
574：278B 禰衡一鶚（禰衡）
後漢末のフリーダムオッサンにして抜群の文人、のちにいろんなひとから嫌われまくって殺される禰衡さんであるが、孔融からは「百の猛禽が集まってもあの一羽のミサゴにすら敵わない」と激賞されていた。
338：163A 壺公謫天（費長房）
壺公と言う仙人は天でやらかしを決め、地上に落とされていた。地上では慎ましい老人の振りをしていたが、壺の中に大邸宅を構え、そこで悠々と暮らしていた。あるときそれを費長房に見とがめられ、仕方がないので彼を壺の中に招待。そこでとんでもない贅沢暮らしをさせたのだそうな。「天から落とされたこと」そのものが罰、と言うことだろうか。
235：112B 辺韶経笥（辺韶）
邊韶は後漢のひと。非常にふくよかな体格で、またとても口が回るひとであった。あるとき昼寝していたところを弟子に「あの体格だからいろいろだるいんだろうなwww」とからかわれる。そこに対して「俺の腹は書庫。眠っているときに周公と論じあう、これは孔子もなしていたこと。で、師匠を嘲るのは何の典拠に基づくのかね？」と言い返したのだとか。
241：115B 孟光荆釵（孟光）
後漢の士人梁鴻の妻、孟光。彼女は色黒で力持ちだった。嫁ぐに際してがんばって着飾ったが梁鴻は相手にしない。理由を聞けばともに隠遁する相手を探しているからだ、と言う。そこで孟光、荊の釵を刺し、質素ないでたちで改めて梁鴻のもとに。梁鴻は喜び、ともに山の中に消えていった。
486：237A 孟嘗還珠（孟嘗）
後漢の役人、孟嘗は南方の町、合浦に赴任。そこでは農業こそされていないものの海から多くの宝玉が産出されており、それを元手にした交易で食料を得ていた。ところが孟嘗の前任者がこの宝玉を独り占めし、合浦の民が飢えるようになった。孟嘗は赴任した側からさっそくこの宝玉を変換、流通を再開。これによってたちまち慕われるようになったが、本人はそうした形での慕われ方を嫌い、身を隠すのだった。
61：29A 毛義捧檄（毛義）
毛義は後漢の人。孝行者で知られ、顕職に推挙され喜びを顔に浮かべたが、それは親の暮らしのためだった。親が死ぬと即辞職した。
193：93A 震畏四知（楊震）
後漢中期の名士、楊震。彼はこっそりわいろを持ち寄ってきたものに「天と地とあなたと私がわいろを知っている。受け取るわけにはいかない」とわいろを突っぱねた。
272：131A 楊生黄雀（楊宝）
楊宝が雀の雛を助けた。そしたらその主人たる西王母から別に使者がもたらされ、「あなたの子孫は繁栄するでしょう」。楊宝自身は光武帝に召されても出仕しなかったが、息子の楊震は安帝、孫の楊秉は桓帝、曾孫の楊賜は霊帝、玄孫の楊彪は献帝及び魏の文帝の時に太尉となった。
194：93B 秉去三惑（楊秉）
後漢後期の名士、楊秉。清廉潔白を旨とし、高官に至った。彼は三つの誘惑を常に自らにいましめていた。酒、性欲、財貨である。
72：34B 羊續懸魚（羊續）
同じく後漢に仕えた地方官、羊続。彼もやはり清廉潔白なたちだった。基本的には贈り物なども受け取らないのだが、あるとき「この魚くらいなら……」と持ち寄ったものがあった。珍しくそれを受け取ったと思ったら、魚を目立つところに干しておき、以降「この魚がまだ残っているから」と贈与を断る口実にしたそうである。
111：53A 陳雷膠漆（雷義）
後漢の士人フレンズ、陳重と雷義。どちらかが栄達すればもう片方に譲るし、どちらかが罪を得ればもう片方も責任を負って自任する。地元の人たちは「塗り固めたニカワはめっちゃ硬いけど、あの二人の絆には勝てないよね」と語り合った。
255：122B 雷義送金（雷義）
雷義はかつて冤罪で死罪になりかけた人を救った。その人から金二斤の返礼があったが、受け取らない。その人は雷義の留守を見計らって、その家の屋根裏に金を隠して去った。雷義が屋根の修理をしたときに初めてその存在が発覚するも、そのとき持ち主は既に死んでいた。そこで雷義は役所にこの金を献上した。
443：215B 李恂清約（李恂）
後漢章帝の時代に兗州刺史となった、李恂。彼もやはり清楚倹約な暮らし向きを貫いた。自給自足を旨とし、政府高官よりの支援物資などについてもいっさい受け取らなかった。
131：63A 元礼模楷（李膺）
後漢後期、党錮の禁によって犠牲になった士人の筆頭格、李膺。あざなが元礼。彼は茂才として中央に推挙されると、周辺の人間から「彼こそが我々の模楷、すなわち手本となるひとだ」と評されていた。
487：237B 劉昆反火（劉昆）
同じく後漢の劉昆は有徳の人であった。あるとき火事があったのでそちらに向けて叩頭すれば火事がやむし、別のところで虎の害が激しかったのにかれが赴任すると虎は逃げ去った。「どうすればそんな真似ができるのだ」と光武帝が聞くと「ただの偶然です」と返した。
165：80A 東平爲善（劉蒼）
後漢明帝の弟、東平王劉蒼は兄より格段の寵遇を受けていた。封爵地での生活ののち明帝の元に戻ると、明帝より「何が一番楽しかったか？」と聞かれる。すると劉蒼は「善きことをしているのがもっとも楽しかったです」と応えた。
597：290A 劉寵一銭（劉寵）
後漢末期、会稽で善政を布いた劉寵が都に戻ることに。すると恩を感じた地元の老人がめいめいに、道中の足しにして欲しいと数百銭ずつを劉寵に持ち寄る。劉寵はそれぞれから一枚ずつを受け取り、残りは返却した。
357：172B 劉阮天台（劉晨・阮肇）
漢の明帝の時代、劉晨と阮肇は天台山で仙郷に迷い込んだ。そこでのんびり半年近く過ごしてみたところ、現世に戻ったら西晋武帝の治世であった。
515：250B 劉�邀�鞭（劉�遏�
後漢桓帝の時代、劉�遒脇醉杪声蕕箸靴読詛ぁ�温厚寛容な政を布いた。部下に過ちがあったときにも蒲鞭、すなわちススキの花のようなもので打ったため、みな痛みは覚えず、ただ罰を受けた屈辱のみを胸に抱えた。
481：234B 梁鴻五噫（梁鴻）
後漢の人梁鴻は才人だったが、漢帝に仕えるのをよしとせず各地を放浪。洛陽近くに至ったとき「五噫の歌」をものし、現世の批判をした。
34：16B 梁習治最（梁習）
後漢末期、地方の動乱を見事に収めきった梁習。曹操がその手腕を評価して地方長官に抜擢。すると当時で最も優れた統治者である、とまで讃えられるに至った。
14：7B 梁冀跋扈（梁冀）
後漢の時代の宰相、梁冀は後漢後期に現れて権勢を振るい、あるいは高官を、果てには皇帝すら殺害するに至り、人々より跋扈将軍と呼ばれた。
135：65A 梁竦廟食（梁竦）
後漢明帝の時代の文人、梁竦。めちゃくちゃすごい文人だったが、朝廷での活躍はできなかった。皇帝の宗廟に配食されるような活躍もできないなら引きこもった方がマシだと、本当にそのまま引きこもった。もっとものちに立身して梁冀にはめられ死ぬのだが。
598：290B 廉范五袴（廉范）
後漢章帝の次代、蜀に派遣された廉范。当時蜀では火災防止のため夜の仕事を禁じていたのだが、「なら火消し用の水用意しときゃええやん」とルールを改正。おかげで蜀の民はだいたい二、三枚しか持てていなかった袴を五本持つほど裕福になれた。
127：61A 魯恭馴雉（魯恭）
後漢章帝の時代に地方長官になった魯恭。その任地における統治ぶりは神がかっており、「なぜか蝗害も及ばず、獣や雉まで馴致され、幼子ですら徳を知る」とまで視察の人間に言い切らせた。
21：11A 武仲不休（傅毅）
後漢章帝の時代に活躍した文人傅毅、あざ武仲。彼は抜群の詩才を備えてこそいたが、いついつまでもずっと書いていないとその詩才を維持できなかった、と他者より批判されていた。
488：238A 姜肱共被（姜肱）
後漢桓帝時代の隠者、姜肱。彼は兄弟たちと仲が良く、その布団すらともに共有するような間柄であった。
134：64B 崔烈銅臭（崔烈）
後漢末、霊帝が官位を競りに掛けて無茶な朝廷財政改善策に乗り出した。このとき崔烈が思いっきり銭を積み、人臣の極みたる三公の位を買い上げる。世間体を気にする崔烈が自らの評判を問い合わせたところ「銭くさくてたまらん」評価を得た。
378：183A 欒巴噀酒（欒巴）
欒巴が朝会に遅刻した。すこぶる酔っていた。これを咎めたところ「いや、酒を吹き付けて火災を鎮めてきましてね」と言い出す。どういうことやねんと思って調べさせたところ本当に火災が起きていて、それが雨によって消し止められたのだ。ただし、その雨は酒気を帯びていた、と。
227：108B 盧植音鐘（盧植）
劉備の師として知られる、盧植。彼の声はくそでかく、まるで鐘の音のようだった。
529：256B 耿恭拜井（耿恭）
後漢の将軍、耿恭。西方の将として赴任したところ、匈奴にしばしば襲われた。撃退の上攻め立てたはいいが追撃先で水を使い切り、渇きに苦しむ。井戸を掘っても水が出ない。そこで耿恭、井戸に向けて祈りを捧げた。すると、なんと水が湧き出した。
110：53B 范張雞黍（范式）
同じく後漢の范式と張劭は、そのすまいが遠く離れているとは言ってもその心を繋ぎ合う仲だった。春に別れ、秋の再会を誓うと、その期日近くなったタイミングで張劭が鶏を潰し、キビをふかし、その到来を確信して待った。
93：45A 范冉生塵（范冉）
范冉は後漢の人。才人であったが俗世とは一線を画した恬淡とした生活を送っていた。そのため米炊き用の釜に塵がたまったりさえすることもあった。
562：273A 宗資主諾（范滂）
後漢桓帝の時代に郡太守であった宗資と成瑨。宗資はやりての部下のイエスマンとなり、成瑨はやりての部下にすべてを投げて執務室で歌を歌うだけだった。このことはまちで風刺された。
573：278A 慈明八龍（荀爽）
後漢末期の名士、荀爽。彼は八人兄弟で、揃って「八龍」と呼ばれていたのだが、その中でももっとも才覚優れているといわれていた。
311：149B 蔡倫造紙（蔡倫）
後漢和帝の時代に仕えていた宦官の蔡倫、竹帛は重いわ布帛はコストがかさむわで、もうちょっと記録媒体どうにかならんのかいと考えたそうである。そこでいろいろ工夫して紙を開発した。
315：151B 蔡邕倒屣（蔡邕）
一方の蔡邕は後漢末の文人トップオブトップ。そんな蔡邕がたくさんの人の訪問をさばく中、幼少ながらすでに抜きん出た文才を放っていた「王粲」の訪問に気付き、下駄を踏み外しながらも駆け寄り、その才を激賞した、と言うもの。王粲は後に曹操曹丕の元で建安文学を花開かせる「建安七子」の一人として讃えられる。
32：15B 袁安倚頼（袁安）
後漢章帝の時代の大臣、袁安は汝南袁氏栄達の祖とも言うべき人物だ。章帝が死亡し、幼い和帝が立ったとき、外戚の力が強まっていたが、袁安は一人その気風に立ち向かい、宮中の誰もが袁安を頼った。
548：266A 賈逵問事（賈逵）
賈逵、と言っても三国志に出てくるひとではない。後漢中期の学者である。春秋の注釈に熱を上げ、世間の出来事にはまるで関心を払わなかった。幼いころから学問のことばかりで、世の人々からは「物事についての質問ばかりするひとだ」と称されていた。
264：127A 賈��褰帷（賈��）
後漢末期に冀州刺史となった賈��は、取り決めでは刺史が任地入りするときに馬車の幌を下ろすべしとされていたが、「任地の実情も知らずして何が刺史だ」と、幌を上げさせたそうである。
136：65B 趙温雄飛（趙温）
後漢末期、長安統治の補佐官に任じられた張温は「大丈夫まさに雄飛すべし、いづくんぞよく雌伏せん！」と言いきって官を捨て立ち去った。のだが，のちに長安が都となると、そこで三公に任じられた。
294：142A 趙壹坎壈（趙壹）
後漢の趙壹はずば抜けた才人でこそあったのだが、なにぶん激しく傲慢であった。もちろん時の名士の中には彼のすごさを実感するものも多かったのだが。そんな彼のすごさは役人の元にも届いたため、招聘の便りが幾度も届く。しかし趙壹、すべてはねのけ、貧乏暮らしの中で死んだ。
254：122A 郝廉留銭（郝子廉）
郝子廉はものすごいドケチで食べ物も着るものもまるで手に入れようとしなかった。その一方で恵まれたことに対してはきっちり金を払った。姉に食事を提供して貰ったときにもムシロの下に銭を残したし、川で水を飲めば川に銭を投げ込んだ。
434：211A 龐倹鑿井（龐倹）
龐倹の父が消息不明になった！ 住むところを追われた龐倹、母とともに田舎に引っ越すも、そこで井戸を掘ったら財宝にぶち当たり、大金持ちに。やがてひとりの老奴隷を買い入れたら、それは行方不明になっていたはずのおとんでした！ ……えっ？
三国志（68件）
1：1A 王戎簡要（王戎）
曹魏末期、のちに西晋で立身することになるふたりの若者は先達たちから高く評価されていた。楚の評価が「王戎はシンプルに要点を拾い、裴楷は流れるように論旨を通じさせる」ものだ。
183：88A 呂安題鳳（嵆康）
西晋の名士、呂安は嵆康とマブであった。あるとき嵆康の元に訪れてみると家族しかいない。がっかりした呂安は家の門に「鳳」と書いて立ち去った。「凡＋鳥」である。
3：2A 孔明臥龍（諸葛亮）
諸葛亮が仕官されるよりも前に、伏龍と呼ばれていた。
2：1B 裴楷清通（裴楷）
曹魏末期、のちに西晋で立身することになるふたりの若者は先達たちから高く評価されていた。楚の評価が「王戎はシンプルに要点を拾い、裴楷は流れるように論旨を通じさせる」ものだ。
342：165A 伊籍一拜（伊籍）
三国時代、蜀に仕えた伊籍は呉の孫権の元に使いした。ここで孫権より「無道の君の下でひーこらするのは大変だな」と劉備をなじられたところ、「いえいえ、無道の君にちょいと拝礼することなぞさほどでもございません」と、孫権を無道の君扱いして返答。この返しに孫権は唸った。
345：166B 応璩三入（応璩）
応璩は三国魏の時代、曹丕、曹叡、曹芳の三代にわたって侍中＆散騎常侍、つまり皇帝のそばに侍って護衛や諮問を司る役にありました。つまり、やはりトップ高官です。
582：282B 王思怒蠅（王思）
王思は三国魏の時代の人。能吏だがすぐかっとする性格だった。ハエが筆の端に止まる。追い払う。また止まる。激怒。立ち上がって追い払う。逃げていかない。激怒。ついに筆を地面に叩きつけて踏み折った。
456：222A 王祥守奈（王祥）
後漢末の名士、王祥。彼は継母よりいじめられていた。ある嵐の日、継母より丹奈の木を守れと命じられたため、一晩中嵐の中で、泣きながら丹奈の木を抱いて守った。
64：30B 王覧友弟（王覧）
のちに子孫が南朝第一の名族として知られる琅邪王氏として活躍することになった、王覧。彼の母が兄である王祥をしばしば害しようとした。それに気付いた王覧は徹底して兄を守り、時には死をも恐れないほどだった。
569：276B 王凌呼廟（王凌）
曹魏に仕えた王凌は司馬懿との権勢争いに敗れ、処刑されることになった。このとき既に死亡している魏の名臣の霊廟の前で「そなたならわしの無実が分かるであろうに」と呼びかけ、毒を飲んで死んだ。
396：192A 仲宣独步（王粲）
漢末の文人グループ建安七子の筆頭格王粲、字仲宣。彼の文才は当時の文人の中でもずば抜けており、「ひとり先を進む」と言われた。
483：235B 王粲覆棊（王粲）
三国魏の大文人、王粲。凄まじい記憶力を誇り、あるときみんなで囲碁の対戦を鑑賞していたとき、その石がばらけてしまった。すると王粲が事もなげに局面を再現してしまい、再開が叶った。
270：130A 平叔傅粉（何晏）
曹操の下に仕えた文人何晏、あざな平叔。彼は美男子すぎ色白すぎで、何も塗らなくともおしろいを塗っているかのようだった。
468：228A 何晏神伏（何晏）
漢末の大文人、何晏。彼は抜群の文才を示していたが、同じく凄まじい文才を示していた王弼に対し素直に感服した。
101：49A 泰初日月（夏侯玄）
三国魏の名士夏侯玄、字泰初はその交友スキルがずば抜けていた。夏侯玄と話す人々は、まるで夏侯玄の懐に太陽や月が入っているのではないかと錯覚した。ただしその本心はわりとえげつない批判者であった。
259：124B 華佗五禽（華佗）
後漢末期の名医、華佗。彼の治療術に五禽の戯と言うものがあった。曰く、虎・鹿・熊・猿・鳥の動きを真似すればたちまち身体の不調は取れるだろう、と言うものである。あっこれストレッチとかヨガのたぐいですね。
222：106A 華歆忤旨（華歆）
曹丕が皇帝になりました！ やったね！ けど華歆は昇進を蹴ったし、
328：158A 甘寧奢侈（甘寧）
三国呉の勇将甘寧は金の使い方も凄まじく、絹織物で船を繋ぐといった荒技もしていた。
493：239B 亮陟隔坐（紀亮）
呉の孫休の時代、中書令として働いていた紀陟の父、紀亮がやはり中央に尚書として召し出された。親子が側にいるのもあれだろうと言うことで、朝廷における席次を敢えて離された。
491：239B 亮陟隔坐（紀陟）
呉の孫休の時代、中書令として働いていた紀陟の父、紀亮がやはり中央に尚書として召し出された。親子が側にいるのもあれだろうと言うことで、朝廷における席次を敢えて離された。
257：123B 胡昭投簪（胡昭）
後漢末の隠者、胡昭。彼は曹操よりの招聘に一度こそ応じたのだが、もれなく冠を脱ぎ、また冠を固定するためのかんざしを投げ出し、隠遁した。
534：259A 顧榮錫炙（顧榮）
顧栄は呉出身の西晋の名士。西晋で焼き肉パーティーが開催されたとき、肉を焼く係のひとが肉を欲しそうにしていたので彼にも食わせてあげた。参加者は「そんな下男に恵みを与えてどうするのだ」と笑ったが、のちに八王永嘉の争乱で中原が爆発したとき、顧栄はまさにその肉焼き係のサポートのお陰で難を逃れ、呉に帰還出来た。
123：59A 向秀聞笛（向秀）
向秀は竹林七賢。嵆康と良くつるんでいたのだが、その嵆康が処刑された。後日ふと街角で寂しい笛の音を聞き、無二の友人のことを思い出し涙したそうである。
489：238B 孔融讓果（孔融）
後漢末期の名士、建安七子のひとり、孔融。彼は幼い頃家族とともにたくさんの桃を食べたのだが、そのときに一番小さいものを選んだ。曰く、上の兄弟こそが大きいものを食べるべきであるが、とは言え下の兄弟には大きいものを食わせてやりたい、と語った。
355：171B 左慈擲杯（左慈）
左慈は漢末の人物。道術に長け、曹操に引見された。その手腕を習いたいと曹操に乞われるも断り、怒った曹操に毒酒を差し向けられた。左慈はそれを平然と飲みきった上で杯を屋根のほうに投擲。そちらにみな目が奪われた瞬間には、その姿をくらましていた。
166：80B 司馬稱好（司馬徽）
後漢末期の人物鑑定人、司馬徽。彼は人の欠点をあげつらわず、そしてありとあらゆる現象に対して不平も持たず、すべてに対して「好し」とばかり応えたという。
55：26A 晋宣狼顧（司馬懿）
晋の宣帝、つまり司馬懿。狼顧の相自体は狼が後ろを振り返るように、首が真後ろにまで回るさまを言う。が、そこに晋書が「帝內忌而外�遏む粉�多權變。」と書いたため寛容に見せかけて猜疑心の強い人の代名詞と化した。
306：147A 葛亮顧廬（諸葛亮）
劉備は庵を結び半ば隠遁していた諸葛亮のもとに何度も足を運び、ついに臣下に迎えた。
500：243A 亮遺巾幗（諸葛亮）
三国蜀が魏の支配する長安を攻め立てるも、司令官の司馬懿はぜんぜん迎撃に出てこようとしない。しびれを切らした諸葛亮は司馬懿に女物の衣服を送りつけた。女々しい奴め、と言うことだ。なお司馬懿はそれでも出てこなかった。
470：229A 常林帶経（常林）
三国魏の人、常林。彼は学問をこよなく好んだ。一方で農務をも疎かにはせず、経典を抱えながら畑仕事に精を出した。
120：57B 秦宓論天（秦宓）
三国蜀に仕えた秦宓。呉に使いとして向かったとき、呉の人間から「天に頭があるか？」「耳は？」「足は？」と聞かれたので、全部詩経を引用して答えきった。
74：35B 辛毘引裾（辛毘）
曹丕が無茶な政令を施行しようとしたとき、辛毘をはじめとした群臣が「なにオメー独断で進めようとしてんだおい！」と総ツッコミ。怒った曹丕が引きこもろうとしたところ辛毘がその袖を引っ張って連れ戻そうとした。それは叶わなかったのだが、しばらくして戻ってきた曹丕が「なんでそうお前らは俺の発案却下するんだ」と聞くと、「そりゃオメーの政策がクソだからだよ」とぶった切られたのだそうな。
427：207B 蒼舒稱象（曹沖）
蒼舒は三国志の英傑曹操の最初の嫡子、曹沖のあざな。象の重さどう測ればええねんと言う話題が出たとき、船に乗せーや、そんでどんだけ沈んだかを測れば重さ割り出せるやろ、と答えた。
397：192B 子建八斗（曹植）
曹操の息子、曹植。その文才はやはり凄まじいもので、後の世の謝霊運などは「この世に文才が百あるならば、そのうちの八十は曹植の元にある」と言った。ちなみに続きは「そんでぼくが十ね」と付け加えてもいる。
596：289B 陳思七步（曹植）
陳思王。すなわち曹丕の弟、曹植の諡だ。世説新語には曹丕が七歩歩く間に詩をあまねば処刑などとムチャブリされたところ「兄ちゃん同じオヤジから生まれた兄弟じゃんかよう、なんでそんないじめるんだよう」内容の詩を書いて曹丕を凹ませた、と載る。これは説話だが正史に載る曹植から曹丕にあてたお手紙はわりと「お兄ちゃん大好きだよう逆らう気なんてないよういぢめないでくれよう」的な意味をその文章力に載せて殴りつけてきており、曹植お前さあ……と思わないでもない。
504：245A 魏儲南館（曹丕）
魏の初代皇帝曹丕は南館にて文学の士と交流した。
95：46A 詰汾興魏（拓跋詰汾）
北魏道武帝の遙かなる先祖、拓跋詰汾。彼が神霊よりの奇跡を得ることで生まれた拓跋力微が、その後の拓跋部の繁栄を興すこととなる。
225：107B 丁固生松（丁固）
孫呉末期の三公となった丁固は腹の上に松の生える夢を見た。松の字は分解すると「十八公」となる。その言葉通り、夢を見た十八年後についに三公にまで上りつめた。
190：91B 張昭塞門（張昭）
三国呉の重鎮、張昭。孫権の重要な相談役だったが、北方の自立勢力からの称藩を孫権が受け入れてしまったため、それに猛反対していた張昭、怒って自宅に引きこもった。ちなみに孫権はその門を焼くことで張昭を自宅から引きずり出した。
449：218B 仲蔚蓬蒿（張仲蔚）
一方の張仲蔚は、魏晋期頃の、いわゆる隠者。蓬蒿、すなわちヨモギの葉の中に没して、人目を避け、士官も一切断った。
172：83B 張遼止啼（張遼）
三国魏の勇将、張遼。呉に攻め立てたときの武勇のすさまじさのあまり、呉の人々は鳴く子に「張遼が来たぞ！」と言って脅し、その泣き声を止めた。
604：293B 陳泰挂壁（陳泰）
魏晋交代期の名臣、陳泰。彼が地方長官として出向したとき、多くの者がまいないを陳泰の元に持ってくる。陳泰、一旦すべてそれらをあずかるも壁に掛けたままにしておき、手をつけず、中央に帰還するときにすべて返却した。
610：296B 陳琳書檄（陳琳）
建安七子のひとり、陳琳。彼は袁紹の下で曹操を悪し様にこき下ろす檄文をものし曹操を怒らせたが、むしろその文才に惚れ込まれ、曹操に採用された。
223：106B 陳羣蹙容（陳羣）
陳羣は悲しそうな顔を隠そうともしませんでした。
442：215A 田豫倹素（田豫）
三国魏に仕えた田豫は曹芳の時代に并州刺史となって胡族に対してにらみを利かせた。その統治は倹素そのものであり、家にはほとんど財産らしい財産もなかった。
587：285A 馬良白眉（馬良）
三国蜀に仕えた馬良は五人兄弟だったが、その中で最も優れていた。その特徴が白い眉であった。
362：175A 甄后出拜（文帝甄皇后）
曹魏文帝の妻にして明帝の母、甄氏が宴会に姿を現す。誰もがその到来に畏れ多いと顔を伏せたが、その中にあって劉�楼貎佑�顔を伏せず、甄氏をガン見。不敬と言うことで処刑にすらされかけた。
215：102B 孟宗寄鮓（孟宗）
孟宗は貧乏人出身、呉で苦学の末役人に立志した人。かれは池の魚を管理する役人となれたので、これまでかけた労苦に報いるため母親に池の魚で寿司を作り、母に送った。そしたら母に「職権乱用とかアホか！」と切れられた。
230：110A 楊修捷対（楊修）
曹操に仕えた楊修はあらゆる物事に対し、迅速なスピードで対応した。例えば曹操が鶏肋を眺めていたときに「漢中に大したうまみはないが、さりとて捨てるのは惜しい」と悩んでいると見抜き、漢中からの撤退を進言したと言われる。
329：158B 陸凱貴盛（陸凱）
同じく三国呉、陸遜の親族に当たる陸凱も、宰相の一族。当然めっちゃ金持ちである。
439：213B 陸抗嘗藥（陸抗）
陸抗は呉末期の名将。晋の羊祜と互角の戦いを繰り広げつつ、リスペクトし合っていた。そんな陸抗が病を得たとき、羊祜から薬が送ってこられた。周囲が毒薬なのではと疑い、恐れる中、陸抗は服用。無事回復した。
146：70B 陸績懷橘（陸績）
後漢の陸績は袁術に橘の花が飾られた間で応接を受けたところ、その橘の花のうち三輪を懐にしまい、母に渡そうとした。
501：243B 備失匕箸（劉備）
曹操暗殺に巻き込まれた劉備は、あるときいきなり曹操に「この世の英傑と言えば君と予くらいしかおるまいな」と言われた。聞きようによっては牽制としか取れないこの言葉を前に劉備は匙や箸を取り落す。直後雷が轟いたので雷に驚くふりをして取り繕ったのだが。
387：187B 劉伶解酲（劉伶）
劉伶は竹林七賢。酒にまつわるエピソードが竹林七賢には多いが、その中でも飲酒に特化している。あまりの酒癖に奥さんに禁酒を乞われたところ、「では神に祈りたい」と神に捧げる酒と肉を用意した。そして言う。「天は俺に飲酒の才能を与えた。飲むに決まってんだろ」と、供え物の酒を飲んで泥酔して寝た。
363：175B 劉�亙浸襦蔑��蓮�
クソ度胸の劉�呂気鵝�なお当時の代表的文人集団・建安七子のひとり。どうでもいいけどふたつでワンセット逸話のパターン突然崩すのやめてくれませんかね？
26：12B 嵆呂命駕（呂安）
魏晋交代期の名士、嵇康と呂安はお互い遠いところに住んでいたが、しょっちゅう駕に命じて遠路はるばる会っていた。
181：88A 呂安題鳳（呂安）
西晋の名士、呂安は嵆康とマブであった。あるとき嵆康の元に訪れてみると家族しかいない。がっかりした呂安は家の門に「鳳」と書いて立ち去った。「凡＋鳥」である。
453：220B 呂虔佩刀（呂虔）
魏に仕えた呂虔はやはり神剣を持っていた。これを鑑定したものが「凡人が提げてよいものではない、三公に上るようなお方が提げるべきものだ」と語る。そこで呂虔は名士として名高かった王祥に渡す。すると彼は三公に至った。王祥がその弟に剣を渡す。その弟の子孫こそが、かの王導である。
226：108A 姜維膽斗（姜維）
三国蜀の最後のあだ花、姜維。彼は死後解剖されたところ、その胆がくそでかかった。
464：226A 季珪士首（崔琰）
三国魏、曹操に仕えた崔琰、あざな季珪は曹操に逆らったかどで殺されたが、後日の名士評論においては当時の名士の中のトップである、と評価された。
450：219A 糜竺收資（糜竺）
麋竺は劉備の臣下のひとり。洛陽から家に帰るときにひとりの婦人が同道を求めたので車に乗せた。すると婦人は言う。「私これから天帝の命で麋竺ってひとの家焼かなあかんねん。あんさんわてに優しくしてくれたで内緒で教えたるわ」。びっくりした麋竺、慌てて家から家財道具を外に出したところ、本当に火事が起こったのだとか。
482：235A 蔡琰辨琴（蔡琰）
後漢末の大文人である蔡邕の娘、蔡琰。父が琴を弾いていたとき、一本の弦が切れた。すると蔡琰が「二弦が切れましたね」。後日別の弦を切って弾いてみれば「四弦が切れましたね」と言い当てた。
132：63B 季彦領袖（裴秀）
世説新語では何故かこの言葉のみで登場する微妙な扱いを受けている裴秀、あざな季彦。晋が曹魏に成り代わらんかといったタイミングにあり、裴秀は後進のトップランナーたるに相応しい、と評価されていた。
467：227B 賈詡非次（賈詡）
曹操に仕えた軍師、賈詡。抜群の知略をもって仕えた。最終的に太尉、すなわち人臣の極みたる三公にまで上りつめたのだが、お前の家格にふさわしい官位じゃねえだろ、とツッコミを入れられていた。
588：285B 阮籍青眼（阮籍）
魏晋交代期に現れた竹林七賢のひとり、阮籍。彼は気に食わぬ相手と会うときには白目をむき、優れた人物と応対するときには黒目を明らかとした。
59：28A 仲容青雲（阮咸）
竹林七賢の阮咸は、その闊達さたるやまるで青空に浮く雲のようであった。
490：239A 端康相代（韋康）
後漢末、涼州刺史であった韋端は中央に高官として召喚されると、息子の韋康がその後釜として涼州刺史となった。
492：239A 端康相代（韋端）
後漢末、涼州刺史であった韋端は中央に高官として召喚されると、息子の韋康がその後釜として涼州刺史となった。
229：109B ��艾大志（��艾）
職官を滅ぼす郡公を上げた、��艾。彼は貧しい少年時代から大志を抱いていた。
25：12A 嵆呂命駕（嵆康）
魏晋交代期の名士、嵇康と呂安はお互い遠いところに住んでいたが、しょっちゅう駕に命じて遠路はるばる会っていた。
60：28B 叔夜玉山（嵆康）
同じく竹林七賢の嵆康はきりりとしたイケメンだったが、酒が入るとでろでろになり、「あれをくずおれた宝石の山のだな」と山濤に言われている。
567：275B 譙周独笑（譙周）
三国蜀の学者、譙周。彼は書物を読んでいるとき、うまく自分の中で物事が繋がると、ふふっとひとり笑った。
380：184A ��潤傭書（闞沢）
三国呉のひと闞沢、あざな徳潤。かれは農民の家出身でしたが、学問が大好き。そこで筆写のアルバイトをして、会わせて自分の勉強としたのだそうです。
304：146A 龐統展驥（龐統）
三国志、劉備の配下となった龐統は抜群の才覚持ちであったが、地方官吏の地位にてうまく治績を上げられずにいた。そこでまわりのものは劉備に龐統が活躍する場を与えるべく進言、「麒麟に村は狭すぎます」と説いた。
西晋（68件）
22：11B 士衡患多（陸機）
もと呉に仕え、やがて西晋に仕えることになった三國志陸遜の孫陸機、あざな子衡。彼は抜群の文才を備えていたのだが、それ故にトラブルにも巻き込まれ、最後は八王の乱にて剛直を貫き、死んだ。
45：22A 瓘靖二妙（衛瓘）
西晋の衛瓘と索靖はともに書道の達人。そこで両名は「二妙」と通称された。
88：42B 衛瓘撫牀（衛瓘）
西晋の武帝に仕えた衛瓘は、後継者の司馬衷（のちの恵帝）が暗愚であることを憂慮していた。そこで皇帝しか座れない席にすがりつき、「ああ、この座が惜しゅうございます」と口にした。なお衛瓘は武帝の時代には咎められなかったが、恵帝の時代、皇后賈南風の策略により殺されている。
251：120B 武子金埓（王済）
西晋末期の名士王済は凄まじい金持ちで、馬を飼う牧場の柵を金銭で作っていた。
262：126A 王承魚盗（王承）
西晋の名士、王承。東海の太守となったときに小役人が王承の館にある池から魚を盗むも、「文王とて民に恵みを分け与えていただろう」と一顧だにしなかった。その寛容さに東海郡の者たちは王承を大いに慕った。
404：196A 濟叔不癡（王湛）
西晋の名士、王済の伯父王湛は墓場の側に引きこもりっぱなしで愚か者と見なされていた。が、王済が気まぐれに話してみると凄まじい才人であった。
316：152A 王敦傾室（王敦）
東晋初期に大きな存在感を示した、王敦。彼ははじめ多くの側妾を抱え込んでいたのだが、あるひとにそれを諫められたため、突然全員を屋敷から追い出した。
308：148A 王褒柏慘（王褒）
王褒は父親を司馬昭に殺された。そのため晋の臣下としては仕えない意思を示し、日々柏にとりついては号泣、ついにその柏を枯らせてしまった。
79：38A 王衍風鑑（王衍）
西晋を代表する名士のひとりである、王衍。まだ世が平和であったとき、石勒が洛陽にやってきていた。王衍は石勒を見て、「素性はわからないが、あやつのような者がのちに天下に災いをもたらすのだ」と断じ、殺そうとするも失敗。のちに無事殺された。
224：107A 王濬懸刀（王濬）
西晋の天下統一に大いに寄与した名将、王濬。彼は四本の刀が梁にかかった夢を見、後日将軍に抜擢された。
533：258B 何曾食萬（何曾）
対する何曾は西晋立ち上げの頃に丞相となった。つまり司馬炎の参謀みたいな位置づけ。厳格な儒者ではあるが、その贅沢ぶりは度を超していたんだとか。
48：22B 岳湛連璧（夏侯湛）
同じく西晋の潘岳と夏侯湛。ふたりはともに文筆で名を知られ、かつふたりが並ぶとイケメン祭となるため「璧玉が連なる」と通称された。
469：228B 郭奕心醉（郭奕）
西晋の名士、郭奕。彼は名高かったがみだりにひとと交友を持とうとは思わなかった。しかしあるとき、竹林七賢の阮咸とあってたちまち感服、敬服した。
125：60A 郭槐自屈（郭槐）
何充には妻がふたりいた。李婉と郭隗である。皇帝よりの特別のお達しにてふたりの正妻を持つことが許された何充であったが、あとから妻となった郭隗にはそれが気に食わない。そこで李婉に難癖をつけに行こうとしたのだが、ひと目会うなりその威厳の前に膝を屈してしまった。
129：62A 広客蛇影（楽広）
八王の乱に振り回された論客。楽広。かれのもとに来た客が酒を飲むと、間もなく具合を悪くした。杯の中に蛇が入っていたにもかかわらず飲み干してしまったことで気分が悪くなった、と言うのである。調べてみるとそれは部屋にあった蛇の絵が杯の中に映り込んでいただけだった。楽広がそれを客に告げると、彼はけろりと回復した。
383：185B 彦輔冰清（楽広）
西晋末の名士楽広は若い頃「彼の姿や心持ちはまるで水鏡のようだと讃えられていた。
436：212A 韓寿竊香（韓寿）
西晋の名臣、賈充は皇帝よりお香を下賜されていた。賈充と、もう一人にしか与えられなかった貴重なものである。しかしあるとき、部下のひとりであるイケメン、韓寿がその香りを漂わせていた。賈充の娘に見初められて逢い引きし、その時にお香を頂いたことが判明したのである。賈充は娘と韓寿を結婚させ、逢い引きをなかったことにした。
145：70A 胡威推縑（胡威）
西晋の胡威は父より絹の布を受け取ると、それを配下にすぐ渡してしまった。
249：119B 彦国吐屑（胡毋輔之）
対する胡毋輔之、あざな彦国は西晋〜東晋頃の名士で、兗州八伯竹林七賢のパチモノに組み込まれている。彼は名言製造マシーンだったようで、「あの人の口から名言がノコギリの木屑かって勢いで出てくるんですけどどういうことなんですかね……」とか言われてる。
540：262A 孔翊絶書（孔翊）
孔翊は洛陽の長官として勤務したとき、庭に池をしつらえた。孔翊の元に自己アピールであるとか推薦文が届いたとき、すべて内容を見ずに池に投げ捨てた。
459：223B 左思十稔（左思）
西晋の代表的文人のひとり、左思。かれは生まれ故郷の華やかさを讃える賦をものしたが、そのときにかかった日にちが一年だった。後日魏呉蜀それぞれの都の華やかさを讃える賦をものしたときには、今度は十年もの歳月を要した。
47：22A 瓘靖二妙（索靖）
西晋の衛瓘と索靖はともに書道の達人。そこで両名は「二妙」と通称された。
177：86A 淵客泣珠（鮫人）
晋代の文人、左思がものした呉都賦には「海側にいた半人半魚が涙をこぼすと、それが宝玉になった」とする伝説が残っている。
176：85B 山簡倒載（山簡）
竹林七賢・山濤の息子である山簡が荊州に出向したとき、永嘉の乱が勃発。洛陽は史上まれに見る大混乱に陥った。それを知った山簡、荊州の地で酒を浴びるように飲んではぶっ倒れる毎日を送った。
85：41A 山濤識量（山濤）
竹林七賢なのに三公にまで上りつめている、山濤。その見識は凄まじく、老子を読んでもいないのにあっさり老子の境地にたどり着くし、孫子も読まないのに軍略のキモを一瞬にして見抜くのだった。
365：176B 晋武傷指（司馬炎）
晋の武帝と言えば後宮での夜とぎ選びを山羊にさせたことで有名だが、とは言えほとんどの場合胡氏の元に足繁く通っていた。つまり山羊は胡氏以外のオマケを選ぶときの振る舞いである。そんな胡氏と武帝が樗蒲で遊んでいたとき、白熱の余り胡氏が武帝の指を傷つけてしまった。「このおてんばものが！」と武帝が怒ると、胡氏も「私を誰だとお思いですか、私の父はこの晋を大いに守ったお方ですよ！ 気性が激しくないわけがございますまい！」と逆に言い返した。
341：164B 晋恵聞蟆（司馬衷）
暗愚の象徴として知られる晋の恵帝、司馬衷。かれは庭園でガマの鳴き声を聞き「このガマはお国のために鳴くのか、自らのために鳴いているのか？」とトンチンカンな質問をし、周囲を唖然とさせた。
494：240A 趙倫鶹怪（司馬倫）
西晋は司馬懿の末子、司馬倫。かれは八王の乱に際し恵帝司馬衷より簒奪、皇帝を自称するも間もなく破滅する。破滅の前日、謎の怪鳥が司馬倫の前に姿を現していた。
560：272A 盛彦感螬（盛彦）
三国呉末期の人、盛彦。彼の母親がほぼ失明状態になった。これに絶望した彼女は召使いへの虐待形で憂さを晴らそうとする。憾みに思った召使いは彼女に感螬、虫の幼虫を食べさせた。盛彦はこの事態に動揺したが、なんとそれによって母氏の視力が回復した。
360：174A 季倫錦障（石崇）
贅沢者バトルのお話である。西晋華やかなりし時に貨殖に励んだ石崇、あざな季倫は外戚の王��との贅沢バトルで、全長2km近くにも及ぶシルクのカーテンを作った。
594：288B 束皙竹簡（束皙）
束�燭論梢源�代の人。戦国魏の王墓から発掘された竹簡を解析したり、嵩山の麓で発見されるも誰も解読できなかった竹簡を読み解いたりしている。
75：36A 孫楚漱石（孫楚）
西晋の名士、孫楚。彼は「石に枕し、清流に口注ぐ、慎ましやかな暮らしを送りた」と言おうとしたところ逆に言ってしまったが、「わざとだよ、石で口を注ぐのだ」と強弁した。
525：254B 戴淵鋒穎（戴淵）
西晋末、陸機が戴淵による強盗働きに遭遇。その指揮があまりに優れたものであったため、思わず陸機は「何故あなたほどの才持てる者が強盗になど身を落としているのだ」と呼びかけ、友としての交わりを結んだ。
83：40A 太叔辨洽（大叔広）
八王の乱のさなかに殺された文人、太叔廣と摯虞。太叔廣は論談に優れ、
475：231B 張華台坼（張華）
一方の張華は西晋で武帝〜賈南風政権を大いに支えた人。賈南風は最強の悪女と言われる割にその政治はわりと安定していた。張華がよく支えていたためと言われる。その後八王の乱の立役者である司馬倫により、賈南風もろとも殺されてしまう。殺害前夜、張華が就いていた司空に相当する星座「台」の星が坼けた。要は流星である。
502：244A 張翰適意（張翰）
西晋の長官は八王のひとりである司馬冏に幹部として召し出されたが、間もなくしてふるさとが恋しいので、と故郷に帰還してしまった。それから間もなくして司馬冏は敗亡した。
446：217A 孟陽擲瓦（張載）
張載、あざなが孟陽。博識でおとなしいひとだが、ひどく醜かった。蜀に任官していた父の陣中見舞いにでたところ、蜀の子供らに石やら河原やらを投げつけられ、へこまされたそうである。ば、バーバリアン……。
154：74B 杜預建橋（杜預）
西晋の杜預は孟津にあった黄河にかけている橋が危ないからと富平津に移すべく建議。周囲の反対もあったが押し通した。結果できた橋は見事なもので、その仕事を武帝より大いに讃えられている。
332：160A 元凱傳癖（杜預）
西晋に仕え、呉平定において多大な功績を残した杜預、字は元凱。死ぬほど左伝が好きで、「左伝癖」とあだ名されていた。
599：291A 氾毓字孤（氾毓）
西晋初期の青州に生きた氾毓は多くの孤児を匿い、育てた。そうした振る舞いが皇帝の耳にも留まり招聘を受けたが、拒否した。
213：101B 畢卓甕下（畢卓）
西晋末期を生き延びた畢卓は役人でありながら酒屋の蔵に忍び込み、酒を盗み飲みしてそこで寝込んでしまった。それで捕まるもまったく悪びれず宴会をそこでひらいた。
364：176A 胡嬪争摴（武帝・胡氏）
晋の武帝と言えば後宮での夜とぎ選びを山羊にさせたことで有名だが、とは言えほとんどの場合胡氏の元に足繁く通っていた。つまり山羊は胡氏以外のオマケを選ぶときの振る舞いである。そんな胡氏と武帝が樗蒲で遊んでいたとき、白熱の余り胡氏が武帝の指を傷つけてしまった。「このおてんばものが！」と武帝が怒ると、胡氏も「私を誰だとお思いですか、私の父はこの晋を大いに守ったお方ですよ！ 気性が激しくないわけがございますまい！」と逆に言い返した。
86：41B 毛玠公方（毛玠）
時代が下り、梁の人が、そんな山濤と並べ讃えるに値するのが毛玠である、と語っている。曹操のもとで働き、その人材登用ぶりは完全に才覚にのみ基づき、コネを差し挟む余地が一切なかった、とのことである。
58：27B 羊祜識環（羊祜）
同じく西晋の羊祜は前世が隣家の子どもであり、その時におもちゃとしていた金のわっかのありかを言い当て、まわりを驚かせた。
452：220A 雷煥送劒（雷煥）
西晋の雷煥は土中より一対の伝説の神剣「干将・莫耶」を掘り当てた。一本は自らが持ったが、もう一本は張華に送った。やがてふたりは歴史の荒波に殺され、干将莫耶は何処ともなく消えていった。
54：25B 士龍雲間（陸雲）
「私が雲漢を飛ぶ龍、陸雲です」
133：64A 魯褒銭神（魯褒）
晋の魯褒は「銭神論」を著し、当時の銭至上論っぽい風潮を皮肉った。のはいいのだが、後世になると「ここに書かれている通りだ」とマジレスで受け止められるようになってしまった。
70：33B 和嶠專車（和嶠）
西晋の名臣和嶠は荀勖の副官となったのだが、とにかく真面目な和嶠に荀勖の雑な行動があわない。そこで本来荀勖に陪乗すべき車に自分ひとりで乗り込み、出発させてしまった。
84：40B 摯仲辞翰（摯虞）
摯虞は文筆に優れる。太叔廣が論談の座で摯虞と議論すれば摯虞は絶対に勝てなかったし、さりとて帰宅してから摯虞が筆にて先ごろの論談についての批評を加えると、今度は太叔廣が答えに窮する、感じだった。
46：22B 岳湛連璧（潘岳）
同じく西晋の潘岳と夏侯湛。ふたりはともに文筆で名を知られ、かつふたりが並ぶとイケメン祭となるため「璧玉が連なる」と通称された。
325：156B 潘岳望塵（潘岳）
西晋の大文人にしてイケメン、潘岳。ただし宮仕えに際しては徹底的なおべっか使いであり、時の権勢者である賈謐の車の真後ろにつき、車が立てる砂埃を喜んで浴びにいった。
601：292A 茍弟轉酷（苟晞）
西晋末、かの石勒をもビビらせた名将苟晞がとる政務は酷薄の一言に尽きた。やがてその弟である苟純が兄の後任となったのだが、その政務は更に酷薄なものとなった。
53：25A 鳴鶴日下（荀陰）
「私が太陽の下で鳴く鶴。荀陰です」
144：69B 荀勗音律（荀勗）
西晋の代表的佞臣、荀勗は、しかしその音楽の才能がずば抜けており、西晋の音楽の調律を一手に引き受けた。
606：294B 荀粲惑溺（荀粲）
荀��の末っ子、荀粲。彼は「女は顔だけあればいい」と憚らずに言い切る口であったが、そんな彼は妻を失うと憔悴しきり、他の人に「顔だけでいいのならすぐに後添えも見つかるだろうに」と言われても「アレの変わりなぞいない」と言い、一年後に死んだ。
395：191B 裴頠談藪（裴頠）
西晋で賈南風政権を大いに支えた裴頠は論壇に長け、そのすさまじさのあまり「まるで林や藪から論が飛び出てくるかのようだ」と評された。……あんまり褒められてなくないこれ？
408：198A 南風擲孕（賈南風）
南風は晋の恵帝の皇后「賈南風」を指す。孕んだ別の妃の腹をかっさばいて赤子を擲たトンデモな逸話が残るお方。
392：190A 趙孟疵面（趙孟）
魏晋期の晋（西晋か東晋かは不明）の名士趙孟は優れた弁舌の持ち主だが、顔に傷があった。そういったこともあり、何か難しい問題が発生したら「あの疵面に聞いてこい」と言われていた。
49：23A 郤詵一枝（郤詵）
西晋武帝に抜擢された地方長官、郤詵。彼は武帝より自らの才能がどれほどかと聞かれたとき、「まあ一流は一流でしょうが、小者ですよね」と自任した。その表現が宝玉の林の一枝、崑崙山に転がる石、ものだ。
278：134A 阮簡曠達（阮簡）
竹林七賢阮籍の息子、阮簡。彼もまたおおらかで細かいことにはこだわらない人物だった。
116：55B 阮瞻三語（阮瞻）
竹林七賢のひとり阮咸の息子、阮瞻は、竹林七賢でありつつ位人臣を極めた王戎に引見したとき、王戎より「孔子の言葉と老荘の言葉に違いはあるのだろうか」と聞かれた。そこに対して「将無同（まぁ、同じだと言えなくもないでしょうか）」のたった三語で答えて王戎を唸らせた。
212：101A 阮宣杖頭（阮脩）
竹林七賢阮咸のいとこ、阮脩。彼は非常に大雑把な性格で、杖の先に百銭をぶら下げてあちこちを散策しては酒を飲み、のびのびと酔っ払った。
577：280A 魏舒堂堂（魏舒）
魏舒は魏末晋初を生き抜いた大臣。素朴な性格をしていたが、よく人材を推挙した。不才を理由に辞職を申し出ても、司馬昭より「そなたのその堂々たる振る舞い、まさに人々の領袖たるに相応しい」と賞賛を受けている。
57：27A 鮑靚記井（鮑靚）
西晋の鮑靚は、自分が前世で井戸に落ちて死んだことを記憶していた。
290：140A �兌酊頓譟捧兌遏�
八王の乱まっただ中の西晋に緑珠美女がいた。八王のひとり司馬倫の参謀が緑珠を夫から強奪しようと目論んだため、彼女は楼閣の上から身を投げ、死んだ。間もなく夫も殺されている。
289：139B 嵆紹不孤（嵆紹）
竹林七賢嵆康の息子、嵆紹。父が刑死するとき、嵆紹に向けて「そなたには山濤殿がおる、決して孤児になることはない」と語った。なおその嵆康は山濤からら官吏に取り立てたい申し出を受けて絶交状を叩きつけ、そのことがもとで収監されている。
473：230B 庾凱墮幘（庾凱）
西晋末期の名士、庾凱。彼は同僚に睨まれており、あるときしたたかに酔わされ、そのために帽子を取り落してしまった。失言を引き出そうとするっ同僚だったが、庾凱はむしろ通常時以上の冴えを見せた切り返しをした上で、帽子を手で拾わず、頭を直接差し出して拾った。
368：178A 翟湯隱操（翟湯）
適当は西晋末に名を馳せた隠者。その志高き振る舞いは、宮仕えを決して良しとせず、さりとて周辺の盗賊たちもその徳高さを知るあまり手を出せなかったと言う。
東晋（77件）
8：4B 王導公忠（王導）
東晋を打ち立てた大宰相王導は、多大な功績こそ挙げたものの常に皇帝を最優先とする姿勢を貫いた。
221：105B 江臮四凶（江泉）
一方、同時代にいたた江泉、史疇、張嶷、羊聃も四伯と呼ばれていた。こちらは最悪なやつ４選である。そこで「凶」と大げさに表現された。
7：4A 謝安高潔（謝安）
東晋後期の宰相謝安は 40 歳になるまで仕官せず、東方で清高潔癖な暮らしを貫いた。
184：88B 子猷訪戴（戴逵）
王羲之の息子、王徽之。奇行で知られる彼はあるとき突然隠者の戴逵のもとを訊ねるのだが、玄関先に到着すると満足して引き返してしまった。
162：78B 平子絶倒（衛玠）
西晋から東晋に亡命した貴族、衛玠彼が老荘について論じると、その精妙さに誰もがみな嘆息し、倒れ伏すのだった。
382：185A 叔宝玉潤（衛玠）
西晋末〜東晋におけるナンバーワンイケメンとして名高かった衛玠の外見は、みずみずしい宝玉のごときである、と評された。
424：206A 衛玠羊車（衛玠）
西晋から東晋に疎開した名士衛玠は非常に美しく、幼いころ羊の引く車に乗っていた姿を人々から「玉人」と称えられていた。ただし最後は心労で死亡。暗殺説も疑われている。
182：88B 子猷訪戴（王徽之）
王羲之の息子、王徽之。奇行で知られる彼はあるとき突然隠者の戴逵のもとを訊ねるのだが、玄関先に到着すると満足して引き返してしまった。
425：206B 王恭鶴氅（王恭）
東晋末の名士、王恭。やはり彼も見目麗しく、鶴の羽で織った着物を羽織り町中を歩いていたところを「神仙かのようだ」と称えられている。しかし最後は政争に巻き込まれ死亡。
461：224B 孝伯痛飲（王恭）
東晋末の名士王恭は名士のあり方について「奇才はいらん、酒を痛飲し、楚辞でも読んで暮らすのが良いのだ」と語った。
605：294A 王述忿狷（王述）
東晋中期の名士、王述はとにかくすぐ怒る。ゆで卵が箸でつかめない。怒る。床にぶん投げ踏もうとするが失敗。怒る。拾い上げて食った。
437：212B 王濛市帽（王濛）
東晋中期のイケメン王濛は身なりをあまり気にかけないたちでこそあったのだが、破れた帽子をおっ被り町中をぶらつけば、王濛の外見に惚れ込んだお姉様がたが王濛に帽子をプレゼントしてくるのだった。
161：78A 逸少傾寫（王羲之）
書聖として知られる、東晋の王羲之。彼は無類の鳥好きで、隠者の飼っている鳥をもらい受けたいと申し出たところ老子道徳経の写しが欲しいと言われ、喜んで全文を書き写して渡した。
16：8B 王��短簿（王�─�
東晋の名将桓温にはふたりの名幹部がいた。豊かな髭を蓄えた郗超、おちびの王�┐任△襦�ふたりは桓温をよく笑わせ、よく怒らせた。
250：120A 太真玉台（温嶠）
東晋初期を大いに支えた名臣、温嶠。かれは親戚の娘がかわいかったので、北方で獲得した豪華な玉台を結納の品として差し出した。
485：236B 何謙焚祠（何謙）
何謙は淝水の戦いで苻堅を破った名将、謝玄の配下。遠征先で社があったりして、兵士らがたたりを恐れるのを見るたびに、その社を焼き払ってしまった。
81：39A 賀循儒宗（賀循）
東晋はじめの人、賀循。彼はその学識、その節義高き振る舞いより朝廷の人々より大いに頼り、敬われていた。
117：56A 郭文游山（郭文）
東晋初期の隠者、郭文。かれはかの王導よりの招聘をも断り、山野に遊ぶことを楽しみとした。
228：109A 桓温奇骨（桓温）
東晋を代表する名将、桓温。その面持ちは常人ならぬ相であった。
317：152B 紀瞻出妓（紀瞻）
東晋初期の名臣の一人、紀瞻の家にいる踊り子に、周�擇�ベタ惚れして連れ出そうとした。この振る舞いが罪に問われたと言うことなので、もしかしたら周�擇砲茲辰届△貊个気譴討靴泙辰燭里�もしれない。ただ、周�擇虜庸修�惜しいと言うことで、罪は不問となった。
369：178B 許詢勝具（許詢）
東晋中期の隠者、許詢。彼は宮仕えを好まず、山水を味わうことを好んだ。加えて自力でどのような険しい山をも踏破できるだけの身体能力を持ち合わせており、世の人々に驚かれていた。
524：254A 虞斐才望（虞斐）
東晋の宰相王導は虞斐こそが次の宰相たるべき才覚人望を兼ね備えていると目していたが、結局その見立ては叶わなかった。なお虞斐は本来虞「馬斐」です。機種依存文字になるため便宜的に「斐」にしてます。
209：99B 顧��丹青（顧��之）
東晋後期の画家、顧��之。博学にしてユーモアのある言い回しにて人気を博した。中でもその絵画は絶品とされた。ただし時の権勢者である桓玄にすり寄った。
218：104A 隱之感隣（呉隠之）
東晋末の名地方官、呉隠之。彼は母が死んだときに凄まじい慟哭を見せ、その姿を見た隣家のものが、息子に対し「おまえが役人を取り立てるような高官になれたなら、彼のような人材こそ役人にしなさい」と告げた。
440：214A 孔愉放龜（孔愉）
孔愉と言えば東晋時代の、やや隠者っぽい暮らしをしていたひとである。彼が道ばたで捕らわれていた亀を購入、沢に解放してやると、亀は三度左向きに公愉を振り返ってから消えた。その後孔愉が役人に叙任されるにあたり、印璽に示される亀がなぜか左に向いていた。
170：82B 江逌爇雞（江逌）
江逌もやはり動物絡みの戦術だ。五胡十六国時代、東晋将殷浩が羌族の将軍姚襄と対峙。単純な用兵力ではまったく勝ち目のないこの戦いにおいて、殷浩の部下であった江逌が数百羽の鶏を縄で繋ぎ、火をつけて姚襄軍に躍りかからせた。そこに強襲を掛け、姚襄軍を退けたのだ。
126：60B 南郡猶憐（司馬興男）
桓温の妻は司馬興男、東晋明帝の娘である。あるとき桓温が敵国を落としたときに、その国の王の妹を妾とした。それに怒った司馬興男は彼女を殺しに長刀を持って出向いたのだが、既に死すら決意していた彼女の思いに打たれ、以降寵愛するようになった。
114：54B 會稽霞舉（司馬�─�
東晋簡文帝、司馬�─９陳襪砲覆訌阿鵬餬硫Δ任△辰身爐梁減澆麓造砲燭�やかなものであり、ピリピリした宮中の緊張感も、彼が現れることで朝靄が立ちこめるかのごとく和らいだ。
100：48B 謝尚鴝鵒（謝尚）
東晋の時代、陳郡謝氏躍進のきっかけを作った人士、謝尚。時の大宰相王導の紹介で参列した宴にて、彼もまた見事な鳥たちの姿を模した踊りを披露した。
142：68B 謝女解圍（謝道韞）
対するは東晋末の烈女、謝道韞。謝安の姪、謝玄の姉である。王羲之の息子に嫁いだ。ある日夫の弟が議論でへこまされかかっている。なのでおっちら乗り込んで「義弟どの、あなたの包囲網を突破して差し上げましょう」と、あっさり相手を論破してしまった。
211：100B 謝敷応星（謝敷）
あるとき隠者を象徴する星に異変があり、有名な隠者と言うことでみな戴逵の身に何か異変が起こるのではないかと思っていたが、実際に死んだのは別所に住む高名な隠者、謝敷でしたとさ。
559：271B 謝鯤折歯（謝鯤）
東晋の名士、陳郡謝氏の始祖的位置にいる謝鯤。彼の特技は歌である。そんな彼が隣家の高氏の娘に迫ったところ下駄をぶつけられ、前歯を二本失った。周囲のものはそれを物笑いの種としたが、謝鯤は「けれども私の歌は健在だよ」と平然としていた。
205：97B 車胤聚螢（車胤）
東晋末期の学者、車胤。彼もまた若い頃貧乏であったが、蛍を布袋に包み込み、それを明かりとして学問を修め、ついには大成した。
30：14B 周処三害（周処）
西晋末期、地方反乱の鎮圧に向かい、敗死した周処。彼は昔乱暴者で、地元の三大災厄のひとりに数えられるほどの暴れぶりだった。ちなみに他の二害は虎とワニである。
13：7A 周嵩狼抗（周嵩）
東晋黎明期を支えた名臣周�擇猟錙⊆�嵩。彼は何かといろんなひとに噛みつく口だった。そのことには自らも自覚していたようで、自らを評するにあたり性狼抗、狼のように上の者に従わない、と語った。
513：249B 周鎮漏船（周鎮）
東晋の時代、名士と呼ばれていた周鎮だが、そのたたずまいはきわめて簡素なものだった。自らの持つ船もきわめてみすぼらしくて狭小、雨漏りもひどいものだった。しかし周鎮はその状況にさしたる不満も抱かなかった。
113：54A 周侯山嶷（周�據�
東晋初期の名臣、周�據�自他共に厳しいひとであり、そのありようはまるで切り立った岩山のようである、と評されていた。
143：69A 鑿歯尺牘（習鑿歯）
東晋の文人、習鑿歯は文章の中でも、特に書簡の往復による議論に長けていた。
39：19A 杜后生歯（成帝杜皇后）
杜皇后は東晋成帝の皇后。あの杜預の曾孫だ。美人だったが歯がなかったため、結婚ができなかった。しかし成帝との成婚が決まると歯が生えてきた。
353：170B 祖約好財（祖約）
祖約は金銭の収集に熱を上げていた。あるときどちらの収集癖がマシか話になったのだが、客がきたときに阮孚はゲタを隠そうともせず、祖約は懸命に隠しきれないゼニを隠そうと躍起になったので、これは阮孚のほうがマシだろう、と言う話になった。
547：265B 祖逖誓江（祖逖）
東晋初期の名将、祖逖。五胡勢力が亡命政権である晋に追撃を掛けようとする中、祖逖はひとり迎撃を誓う。「中原を清めることなくば、長江を再び渡るまいぞ」。結局中原は清められなかったが、その威名は大いに五胡勢力を恐れさせた。
204：97A 孫康映雪（孫康）
東晋の学者、孫康。彼は若い頃貧乏であったが、雪の照り返しを明かりにして学問を修め、大成した。
82：39B 孫綽才冠（孫綽）
東晋中期の文人、孫綽。彼はもろもろオモシロ行動の目立つ人であったが、その文才が当時において抜きん出ていたため、重んじられていた。
210：100A 戴逵破琴（戴逵）
東晋後期の隠者、戴逵。かれは琴の達人であったが、東晋の王族から宮廷お抱えの音楽家になって欲しいと言われたため、「宮仕えがしたくて琴を修めていたわけではないのだ！」と、琴を破壊してしまった。
394：191A 張憑理窟（張憑）
東晋中期の弁者、張憑。彼は家格が多いにものを言う東晋宮中に混じり込むと、そのみごとな弁で他者を唸らせ、ときの皇帝からは「そなたはまるで理屈のあなぐらのようだ」と称えられ、以後重用された。
591：287A 陳遺飯感（陳遺）
東晋末に起こった、孫恩の乱。この討伐に駆り出された陳遺は炊き出しの窯の底にこびりついたお焦げが大好きで、お焦げをとにかく集めていた。やがて敗北、軍が散り散りになると陳遺はその集めたお焦げで食いつなぎ、無事に家に戻る。陳遺を心配していた母は心配のあまり視力を失っていたのだが、陳遺の帰還を知ると視力を取り戻すのだった。
430：209A 陳逵豪爽（陳逵）
陳逵は淝水の戦い直前あたりの東晋の官吏。言論に長ける人物であり、ある集会でみながどうにか陳逵を論破して手ぐすね引いていたところ、そういった人々をシカトして、昔孫策が大活躍した古戦場を見ながら「あの孫策も志を得られなかったのだよな」と詠嘆した。いやシカトすんなし。
271：130B 弘治凝脂（杜乂）
東晋の名士杜艾、あざな弘治。人となりも良かったが、何よりも人目を引いたのはそのぷるっぷるのお肌であった。
592：287B 陶侃酒限（陶侃）
東晋初期を代表する名将のひとり、陶侃。彼は若い頃酒による失敗をしでかしており、母と一定以上の酒は飲まないようにすると約束し、以降それを高官になっても貫き通した。
542：263A 淵明把菊（陶潜）
東晋末の大詩人、陶淵明。彼が酒がないのを紛らわすために菊の花を摘んでいたら、太守が酒を送ってきてくれた。
503：244B 陶潛歸去（陶潛）
かえりなんいざ、である。詩人陶淵明は東晋末期に宮仕えをしていたが、宮仕えが性に合わないから、と職を辞し、故郷に引っ込んだ。
472：230A 孟嘉落帽（孟嘉）
東晋後期の名士孟嘉は酒に酔い、被っていた帽子を落としたことに気付かなかった。そのことを周囲にからかわれたのだが、それに対する返答がみごとなものであったため、まわりのものはむしろ感心してしまった。
273：131B 毛子白龜（毛宝）
晋の将軍、毛宝は石虎に攻め滅ぼされ、川で溺れ死んだ。その配下兵もまた同じ運命を辿りかけたのだが、川に飛び込んできた巨大な白い亀により助けられた。その亀は過去、配下兵に育てられた恩義があったのだ。
147：71A 羅含吞鳥（羅含）
東晋の文人、彼は若い頃に鳥が口の中に飛び込んでくる夢を見、以降文章力が飛躍した。
231：110B 羅友黙記（羅友）
東晋後期の文人羅友は、桓温の蜀討伐に従軍。ぼーっとしているように見えたが、通過した場所の道路の広さ、周辺の植生などを完璧に記憶していた。このため蜀討伐の記録をの残すとき、大いに情報補填に貢献した。
206：98A 李充四部（李充）
東晋中期ごろ、典籍についての注釈が交錯し、その内容が煩雑になっていた。そこを李充が整理し、四部にまとめる。政府も李充のまとめた内容を忠実に守るべし、とお達しを下した。
149：72A 李廞清貞（李廞）
東晋初期の隠者、李廞。彼は士官の話が出てもその一切を断り、清貞なるを貫き通した。
466：227A 陸玩無人（陸玩）
東晋初期の宰相、陸玩。東晋を立ち上げた宰相たちが次々と死亡したため就任したのだが、「東晋に人がいなくなってしまったためわたしに役目が回ってきたのだ」と嘆息した。
386：187A 玄石沈湎（劉玄石）
劉玄石人は千日間酒を浴びるようにかっくらい、千日間昏睡し、その後ようやく目覚めた。
150：72B 劉�畊睥─蔑��畴掘�
東晋末期の隠者、劉�畴掘Ｈ爐發泙浸隆韻里燭阿い力辰飽貔攫�を貸さず、桓沖が直々にスカウトにきてもすげなく断り切った。
460：224A 劉惔傾釀（劉惔）
東晋中期の名士、劉惔。彼は同僚の何充の穏やかな飲みっぷりを心地よく思ったため、彼のためにうちの酒蔵の酒をすべて開けてみたいのだ、と語った。
543：263B 真長望月（劉惔）
東晋中期の風流人、劉惔。彼の友人である許絢が死亡。その後の宴席にて、美しい満月を眺めながら「どれほど月が美しかろうと、いまこの場にはもう彼がいないのだ」と慨嘆した。
603：293A 洪喬擲水（殷羨）
東晋初期の名士、殷羨。彼が南方の郡に赴任することになったとき、当地に出向くついでに、と多くの手紙を届けて欲しい、と頼まれた。いったんは受け取るも、「なんで郵便屋さんごっこせにゃならんのだ！」と、手紙をすべて長江にぶちまけた。
130：62B 殷師牛鬬（殷仲堪）
東晋末の動乱に振り回された論客、殷仲堪。彼の父殷師は奇病にかかっていた。床下でアリのうごめく音が、間近で闘牛が行われているほどの轟音に聞こえた。
376：182A 仲文照鏡（殷仲文）
東晋末の名士、殷仲文。彼は簒奪者桓玄に従いながらも裏切り劉裕につき、今度は重用されなかったからと劉裕にも謀反しようと企てます。しかし、あえなく失敗。処刑されました。その前日、彼の顔がなぜか鏡に映らなかったそうです。
583：283A 符朗皁白（苻朗）
苻朗は前秦の宗族で、淝水の戦い直前に東晋に投降している。異常に味覚が鋭く、ガチョウを食べさせてみたところ、「この肉は白い羽の下、この肉は黒い羽の下にありましたね」とか言い出した。どうやって調べたかわからないが合っていたらしい。
171：83A 蔡裔殞盗（蔡裔）
東晋の蔡裔が盗賊の隠れる家に入り、一喝して床を蹴れば、たちまち三人の盗賊がぼとぼとと天井から落ちてきた。
118：56B 袁宏泊渚（袁宏）
東晋中期の文人、袁宏。かれは波止場でひとり歌っていたところを謝尚に見初められ、登用された。
279：134B 袁耽俊邁（袁耽）
東晋前半の名士、袁耽。何事につけてもうまくこなす彼は、中でも博打を得意としていた。博打の負けが込んだ桓温の代わりに樗蒲を打ち、あっさり大勝するエピソードも残る。ちなみにそのとき袁耽は喪中だった。
220：105A 阮放八雋（阮放）
東晋初期の名士、阮放。かれはその自由闊達な振る舞いから、郗鑒、胡毋輔之、卞壼、蔡謨、阮孚、劉綏、羊曼と並べ讃えられており、兗州八伯と呼ばれた。
352：170A 阮孚蠟屐（阮孚）
東晋の名士阮孚はゲタの収集を好み、集めたゲタにロウを塗って管理していた。祖約は金銭の収集に熱を上げていた。あるときどちらの収集癖がマシか話になったのだが、客がきたときに阮孚はゲタを隠そうともせず、祖約は懸命に隠しきれないゼニを隠そうと躍起になったので、これは阮孚のほうがマシだろう、と言う話になった。
520：252A 雍伯種玉（雍伯）
雍伯は父母を無終山に葬ると、そのままその地に住んだ。その地は慢性的な水不足に悩まされており、雍伯は彼らのために無料の水を確保してやった。するとそこにひとりの男がやって来、石でできた種を示す。「これを植えれば財宝がなる。きっと妻にも恵まれる」。本当に財宝がなった。またその財宝を近所の富豪にみせたところ、娘をもらった。
288：139A 伯道無兒（��攸）
西晋の名士��攸は東晋への亡命道すがら窮地に立たされ、つれていた兄の子と自らの子のどちらかを捨てねばならない、と言うときに兄の子を選んだ。子はまた作れるから、とのことである。しかしその後子に恵まれなかった。
102：49B 季野陽秋（褚裒）
西晋の滅亡を避け、東晋に亡命した名士褚裒、字季野。口にはめったに批判の言葉を表わさないが、その内心ではかなりえげつない批判の言葉が渦巻いていた。人物批判を春秋と言い、当時の皇帝の祖母鄭阿春の名の字を避けて陽秋と読んだのだ。
15：8A 郗超髯参（郗超）
東晋の名将桓温にはふたりの名幹部がいた。豊かな髭を蓄えた郗超、おちびの王�┐任△襦�ふたりは桓温をよく笑わせ、よく怒らせた。
600：291B 郗鑒吐哺（郗鑒）
東晋初期の名士、郗鑒。彼が西晋から東晋に亡命するに当たり、その名声より各地の人々から食事の援助を受けた。彼はそういった援助を受け取るたび、口の中に食べ物を残しておき、外で待つ子どものために残した。
76：36B 郝隆曬書（郝隆）
東晋の知恵者、郝隆は仕事もせずごろりと昼寝。いったいなにをしているのだと人に訊ねられれば、「俺の頭の中にある書を虫干ししているのさ」と強弁した。
南朝（12件)
358：173A 王倹墜車（王僧倹）
南斉の高官の移動を見送りにでた褚淵が橋を渡ろうとしたら橋が壊れ、川に落ちた。それを見た王倹もまた驚きのあまり車から落下してしまった。
521：252B 黄尋飛銭（黄尋）
黄尋は貧乏人だった。あるとき大風が起きて、銭がわさわさと飛んできた。こうして銭を獲得した黄尋は大金持ちになった。
536：260A 稚珪蛙鳴（孔稚珪）
南斉の時代を生きた孔稚珪は政務に関わるのを良しとせず、自宅の庭に雑草を生い茂らせて蛙を呼び寄せ、その鳴き声を聞くのを酒の肴としていた。
148：71B 江淹夢筆（江淹）
劉宋〜梁の時代の文人、江淹。彼の晩年、夢の中に三人の詩人が相次いで現れ「預けていたものを返してもらいに来た」と何かを持ち去って言った。一つの夢を見るごと、江淹の文才は見る見る間に枯れていった。
320：154A 霊運曲笠（謝霊運）
東晋末〜劉宋で大いに名を馳せた大文人、謝霊運は、被る笠をやや傾けていた。
537：260B 彦倫鶴怨（周顒）
周顒はそんな孔稚珪と同じく隠者暮らしをはじめしていたが、のちに宮中入りし、立身。「おまえのふるさとにいる鶴は恨みの鳴き声を上げるだろう、もはやおまえに返る先はないぞ」と詩に仮託して言いつけた。
553：268B 宋宗雞窗（宋宗）
宋処宗が一羽の鶏を飼った。その鶏はとにかく鳴き声が長い。宋処宗がその鶏を溺愛したところ、なんとその鶏が人語を口にし始めるではないか。しかもその内容は極めて機知に富んでおり、鶏の言うことに従ったところ、宋処宗は栄達した。
441：214B 張�枹懴А閉��曄�
梁で、雨のあとカササギのような鳥が飛んでいた。村人、石を投げて鳥を撃墜。すると落ちてきた鳥は何故か丸い石になった。このとき梁の長官であった張�曚慮気棒个�持ち込まれると、張�曄▲魯鵐沺爾農个魍笋襦�すると中から何故か金印が！ なお張�曚聾經僧酊襪了�代に太尉にまで上りつめた。
356：172A 武陵桃源（陶淵明）
陶淵明が書いた「桃花源記」の舞台、すなわち桃源郷はこの地にあったらしい。
556：270A 劉整交質（劉整）
南朝梁に仕えた劉整は甥を自宅で養うことになったのだが、その食費をその母が出そうとしなかったため、彼女が出かけるときに用いる車用の掛け布を強奪、質に出してしまった。この横暴を彼女がお役所に訴え出たところ、「甥のために頑張れねーやつはクソだ」とお裁きがくだり、劉整は懲戒免職された。
609：296A 鮑照篇翰（鮑照）
劉宋文帝の時代の文人、鮑照。彼は無名だったが、時の文学サロン主宰劉義慶に自らの文章を叩きつけ、その才覚を示して見せた。
359：173B 褚淵落水（褚淵）
南斉の高官の移動を見送りにでた褚淵が橋を渡ろうとしたら橋が壊れ、川に落ちた。それを見た王倹もまた驚きのあまり車から落下してしまった。
唐
237：113B 王果石崖（王果）
王果は将軍として蜀の地に就任することになった。蜀に向かう途中、崖に石版が引っかかっているのを見つけ、調査に向かわせる。そこには骸骨が転がっていた。側の石版にはこうあった。「長江はおれを三百年間漂わせた末、ついに王果に巡り合わせるだろう」。この出会いに感じ入った王果、この骸骨を懇ろに祀った。
時代不明
354：171A 初平起石（黄初平）
黄初平はあるとき謎の神霊力を得て羊数万頭を獲得した。ただし普段その羊たちは、何故か白い石にしか見えなかった。四十年あまり山間に潜み、人跡を断っていた。
416：202A 孫晨槀席（孫晨）
孫晨はムシロ編みで糊口を凌ぎながら学問に打ち込み、最終的には長安の役人として取り立てられた。
106：51B 張氏銅鉤（扶風張氏）
句人物 扶風張氏の先祖のもとに、鳩が飛んできた。その鳩は赤銅の鉤をもっており、これを身に帯びると張氏はたちまち立身。しかし手放すとたちまち没落した。
コメントをかく